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親友は、けらけらと笑っておりました。話が終わって、友人との時間を邪魔しては悪いとあの方が家の中に入っていった時にも笑っておりましたし、今度こそ帰るという時にも笑っておりました。私はそれが気に食わなくて、そんなに笑わなくたっていいでしょう、と拗ねた調子で言いました。そんな私の様子に、彼女は穏やかに微笑みました。
嬉しくなってしまったから仕方がないのだと、彼女は言います。笑うくらいは勘弁してほしいと。何が嬉しいのかと訊いてみると、当然私が幸せそうにしていることだと答えるのです。曰く、表情が豊かになったと。別嬪さんに磨きが掛かった、とも言われました。自覚がなかった私はどうしてか少し照れくさいような気持ちになってうつむきました。あいもかわらず、彼女は穏やかに微笑んでおりました。宵闇を背負って私を振り返って、優しい目でこちらを見る彼女は去り際に私の手を握りました。必ず、一生の思い出にする。そういう約束を、ひとつ交わして。
それは夏祭りの女王の自負でした。偶然交わった縁を永遠のよすがにしてくれるという約束でした。そしてその約束は、確かに果たされたのです。なにしろ今も、あの夜のことはこの胸に焼き付いておりますから。
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作者名：鳴草 | 作成日時：2022年5月6日 1時
