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ゆるし ページ8

「何が?」

Aは不思議な顔で言ったけど、

「まぁ、内田さんに謝ってもらう事は山のようにあるような気もしますけど…(笑)」

茶化すようにそう言って笑う。

内田「去年の誕生日、約束してたのに行かなかった…俺、そのことお前に謝ってなかったから…」

真顔で言う俺に、Aの顔から、一瞬だけ、笑顔が消えた。

「別に・・・誰かと誕生祝いしたかっただけですから(笑)」

Aが少し遠くを見るような表情で穏やかに笑った。

俺はその表情で、ようやく神に赦されたような気がした。

「あの日、岳が家に来て、私がお誕生日用に作ったお料理、2人で食べたんです。」

内田「・・・。」

「だから、予定通り、お誕生会できました。」

そう言って、Aは優しく笑った。

この優しい笑顔を作ったのは・・・あいつなんだろうな。

俺は、静かで一見冷静そうだけど、心に熱い火を灯しているあいつに感謝した。

俺の事を赦したAが、ブリ大根を美味しそうに頬張る。

「店長が、ブリ大根美味しかったって言ってました(笑)」

俺達の間に何もなかったような自然な笑顔で・・・

「私、やっぱり、会社辞めます。」

熱いブリ大根をハフハフさせていたAが急に言った。

内田「えっ?辞める事ずっと考えてたのか?」

「いえ、今さっき、思いました。」

内田「はぁ?」

「内田さんが奥さんと会話するの聞いて・・・」

さっき、俺は晩飯食べて帰るって電話しただけだけど…

「元不倫相手とご飯食べに行くのに、なんかさらっとOKしてくれて・・・」

“ゴホッッ!”俺は食べていたものを咽そうになった。

内田「アホ!不倫相手って、言ってねぇ〜し!」

その瞬間、カウンターの席ひとつ空けて隣りに座っていたオヤジが、ちらっとこっちを見た。

「そうでしたっけ…でも、ちょっと怪しい言い回しでしたよ…」

マジか?女にはそう聞こえるのか?あれでわかっちゃうのか?

俺は、帰ってから無事でいられるのか?

ちょっと、焦る俺に対して、

「さっき、岳に内田さんとご飯食べに行く事になったってラインしたら、めっちゃ怒ってて…ただいま喧嘩中です。」

それはダメに決まってるだろ!

内田「バッカ!ドイツに居んのに、わざわざそんな事報告すんなよ。」

うちの選手不安にさせるような事、言うなっつうの!

「だって、岳に嘘つきたくないですもん!!」

俺は、こいつとは2度と不倫しねぇと誓った(笑)

巣立ち→←懺悔



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かりんこ(プロフ) - 初めまして!一気に読ませてもらいました。久しぶりにこんなにハマったお話みつけました(笑)今でもニヤニヤが止まりません(笑)個人的にはもうちょっと内田さん!!!って感じもしましたけどやっぱり岳くんですね!笑応援してます。 (2016年11月14日 3時) (レス) id: 80c3c3dd16 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:モニカ | 作成日時:2016年1月23日 15時

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