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退社の決意 ページ14

内田「えっ?仕事辞めるって前から考えてたのか?」

内田さんがびっくりした顔で私に聞く。

「いえ、今さっき、思いました。内田さんが奥さんと会話するの聞いて・・・」

私の言葉に、更に首を傾げる内田さんは、2つ目の大根を口に運んだ。

「元不倫相手とご飯食べに行くのに、OKしてくれて…」

私がそう言うと“ゴホッッ!”って内田さんがむせた。

内田「アホ!不倫相手って、言ってねぇ〜し!」
「そうでしたっけ…」

私が奥さんなら、絶対心配しちゃう。

それに引き替え私達は…

「さっき、岳に内田さんとご飯食べに行く事になったってラインしたら…ただいま喧嘩中です。」

全然信用されてなくて…

内田「バッカ!ドイツに居んのに、わざわざそんな事報告すんなよ。」

相変らず“選手は大事に”の内田さんに怒られた。

内田さんの言う事が正解だったかもしれない。

私が言わなきゃ分からないし、たぶん人伝いに聞く事もない。

でも、私は・・・

「だって、岳に嘘つきたくないですもん!!」

私のすべてを知っている岳に

これからもすべてを知ってもらいたかった。

「私も岳と、信頼し合える関係、築きたいんです。」

内田さんと奥さん以上に…

「だから、まずは一緒に居たいんです…」

今は、岳の傍に居たいっていう私の気持ち。

仕事の鬼の内田さんには更に怒られるって覚悟したけど、

内田「Aがそう思うなら、それで良いんじゃないか…」

内田さんは意外にもあっさり受け入れてくれて

「はい。なので、私、会社辞めてドイツ行きます。」
内田「そうだな…」

ドイツに行く背中を押してくれた。

それから、私の不安などを打ち明けると、

優しく理論的に相談に乗ってくれて、

私を納得させ、安心させてくれた。

私は内田さんを好きになったっていう過去を、

やっぱり後悔はしていなかった。

食事が終り、店を出る。

駅までの道を2人で並んで歩いた。

これが、内田さんと歩く最後の道のりって思った。

駅に着き、別々の方向へ向かう電車に向かう。

「それじゃ、ここで…」
内田「おう。」

上司の内田さんと部下の私の別れ。

私は、私を成長させてくれた内田さんに心から感謝し、

「内田さん、今まで本当にありがとうございました。」

深々と頭を下げた。

内田さんは、優しい笑顔で私を見つめる。

その笑顔に後ろ髪を引かれる事なく、私はくるりと背を向け歩き出す。

それが、私が内田さんから巣立つ本当の別れだった。

未来への一歩→←1年前に起こった事実



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かりんこ(プロフ) - 初めまして!一気に読ませてもらいました。久しぶりにこんなにハマったお話みつけました(笑)今でもニヤニヤが止まりません(笑)個人的にはもうちょっと内田さん!!!って感じもしましたけどやっぱり岳くんですね!笑応援してます。 (2016年11月14日 3時) (レス) id: 80c3c3dd16 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:モニカ | 作成日時:2016年1月23日 15時

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