検索窓
今日:1 hit、昨日:4 hit、合計:13,567 hit

一章 ページ3

武装探偵社のある、赤茶けたビル。

ある少女が、それを見上げてため息をついた。
こんなちっぽけな建物を落とせなんて、私も随分と舐められたものだな………。
そう思いながら、昇降機を使って上階へと向かう。

“武装探偵社”と書かれた看板のあるドアを、無遠慮に開け放った。
「失礼する」
少女の、凛とした声が部屋に響いた。

「私は『猟犬』の者だ。探偵社に不審な動きありと聞き、参上した」
ぐるりと室内を見回して、少女は値踏みするようにある探偵社員で視線を止める。

「ここに、『35人殺し』はいるな?」
少女に見つめられた、探偵社員ー泉鏡花は肩を揺らす。動揺の色に支配された瞳には、少女しか映っていない。

「貴女が、そうなのね?ーどうするの?自分を捕まえに来た私を、その懐にある短剣で殺したい?」

鏡花は動かなかった。
「探偵社は、人殺しなんてしない」
それだけ云うと、懐から取り出した短剣を床に置いた。

「ふうん。………殺意はない、と云う事ね。全くつまらない」
少女は微笑むと、踵を返して去っていく。
その途中で足を止め、揺らいだ瞳で探偵社員を見つめた。

「私の名は桑床麗華。ーひとつ、忠告しておくわ。
猟犬だけは敵に回しちゃ駄目(、、、、、、、、、、、、、)。………判った?」

少女ー麗華は今度こそ去っていく。
ひとつの忠告を残す事を、猟犬最後の仕事として。

二章→←設定



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.4/10 (33 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
22人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

〇〇(プロフ) - めちゃくちゃお話好きですん (2023年2月23日 21時) (レス) @page12 id: d8c35401ee (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:茉里 | 作成日時:2019年6月13日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。