十章 ページ12
「何で_____何で《猟犬》がここにいるの?」
開け放たれたドアの前に立っていたのは、一冊の本を持った麗奈だった。
《猟犬》の面々を見て、戸惑ったように足踏みしている。
「おやおや、裏切り者の妹さんですか。お姉さんの事は、さぞかし恥じているのでしょう?」
条野の言葉に、麗奈はヒュッ、と喉を鳴らす。けれどもそれっきり黙り込んでしまう。
「ご安心ください。貴方の恥となっている姉は今、私が殺って差し上げますから」
「……………何を、云ってるの?」
突然、麗奈はにっこりと笑みを浮かべた。
誰もがぞっとするぐらい、感情のない笑み。
「麗華が麗奈の恥______?よくもまあ、そんな作り話を思いついたものね」
コツ、コツ、と冷たい足音が響く。条野は微動だにしない。
「ひとつだけ教えてあげるわ。貴方達は半年後に、犯罪を犯した麗奈を裁きに来る。そして正義を働く前に、死ぬの」
「なるほど。では、我々の死の原因となる貴女を、今殺すと云うのはどうでしょう?」
喉にヒヤリとした感触。
末広が構えた、刀の感触だった。
「どうぞご勝手に。
喉元に突きつけられた刀を、麗奈は笑顔でギュッと握る。切れた手から、血がとめどなく流れた。
「ねえ、麗奈をこの悪夢から覚めさせてよ。貴方達に追い出された姉が、精神的に不安定になり、更に安全な未来も保障されなくなってしまった悪夢から。麗奈を覚めさせて。お願い、殺して。麗奈に“死”を頂戴」
末広の構えた刀が、
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〇〇(プロフ) - めちゃくちゃお話好きですん (2023年2月23日 21時) (レス) @page12 id: d8c35401ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茉里 | 作成日時:2019年6月13日 16時