近くて遠いキミ【佐野万次郎】

03⌇遊びのお誘い ページ4

「おい、勝手に校内に入っちゃダメだよ！」

授業中。どうやってマイキーと稀咲を会わせないようにすればいいのか考えていると何やら廊下が騒がしい。
なんだ？頭を上げるのと同時に教室のドアから顔を出したのは…マイキー？！

「お、いたいた。遊ぼうよ、タケミっち！」

むちゃくちゃだこの人…！！

廊下に出ると倒れている3年生の先輩方。
「なんかムカつくから、全員ノシといた」というドラケン…
やっぱり東卍のトップはイカれてる…

「元気してた？」

「いや、昨日の今日っすよ」

「今日暇だろ？」

「いや、そうでもないっス…」

ってあれ？

「昨日の女の子は今日はいないんすか？」

「あ"？オマエAのこと狙ってんのか？」

「Aはやめとけ。マイキーに殺されんぞ」

「あっ、いやそう言う意味じゃなくて！ていうか、マイキーくんとAさん…は付き合ってらっしゃる…んですか？」

オレのことを至近距離で睨んでいるマイキーに恐る恐る聞いてみると、サッと俺から離れて顔をそらす

「んなんじゃねーよ！アイツはただの幼馴染。でも…手ぇ出したら許さねぇ」

え？幼馴染？まだ2人とも稀咲とは出会ってないのか？
てことは、これってチャンスじゃん！
マイキーに近づいて、稀咲鉄太との出会いを止める！そうすれば必然的に稀咲鉄太とAも出会うことはない！ヒナを救える！！

「ちょっと待ってください！」

え？ヒナ？
近づいてきたかと思えば、突然マイキーの顔に平手打ちを喰らわし、震える手でオレの手を引く

「こんな人たちのいいなりになっちゃだめだよ！」

「オイ…殺すぞガキ。いきなりぶん殴ってハイさよなら？ふざけんなよコラ」

「その手を離せ…」

「あ？聞こえねーよ」

「その手を離せって言ってんだ！もう二度と譲れねーもんがあるんだよ！！」

「あーあ、せっかくダチになれると思ったのにザンネン。さて…どうやって死にてぇ？」

「…一つだけ約束しろや。ヒナには絶対手ぇ出すなよ！」

「は？知らねーよ」

殴られる！

「なーんてね！」

へ？

「バカだなタケミっちー。女に手ぇ出すワケねーじゃん」

「オマエちゃんとヨメいたんか」

「大事にしてやれよ」

オレが直人から聞いたのは、東卍はなんでもやる極悪集団だ。本当にこの人は東卍のアタマなのか…？

「オレが不良の時代を創ってやる、オマエもついてこい。オレはオマエが気に入った、花垣武道」

マイキーは不良だけど悪いヤツじゃない。何がマイキーを変えたんだろう…

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