episode7 ページ14
個人スケジュールを終え、宿舎に戻る。
誰もいないと思っていたリビングには電気が付いていて、
なにやら賑やかな声が聞こえる。
あれ、もうみんな仕事終わってたんだ。
時刻は22時。
何もなければ終わってる時間だけど、
ここ最近は、カムバックを控え、
みんな夜遅くまで会社に残ってることが当たり前になっていた。
まぁ、それは私もか。
今日、私のソロ曲が公開された。
ここまでのスケジュールは正直、
なかなかにきついものがあった。
次、何をしなくちゃいけないのか、
だんだんと頭が回らなくなる日々。
今日も、きっとスマホを見れば、
みんなの仕事が終わっているのか、
そうじゃないのかはすぐに分かる事だったんだろうけど、
そんなことすら忘れてた。
公開されて、やっと、今日からだ。
カムバックに集中できる。
曲は出すけど、活動はしない。
前から決めてたこと。
本当はしたいけど、
私はTREASUREで、
私の中での第1優先はTREASUREだ。
TREASUREの活動に影響が出るなら、
私はソロはしない。
そういう約束での今回の仕事だった。
知らぬ間に疲れが溜まってたみたいで、
自然とため息が漏れる。
なんとなく、誰にも会いたくない。
大好きなメンバー、だけど、
今会えば、マイナスなことばかり言ってしまいそうで。
カムバックに向けて、ギアを上げ前を向いて走ってる中、足を引っ張るようなことはしたくない。
いつもなら必ずリビングに顔を出してから部屋に戻るところを、そのまま部屋へと直行した。
誰にも会うことなく、シャワーも浴び終え、
ベッドに入る。
間接照明だけの薄暗い部屋で、ただ天井を見上げる。
そのままゆっくり目を閉じれば、色んなことが頭を回る。
ファンのみんなはソロ曲を気に入ってくれてるだろうか。
がっかりしてないだろうか。
私は明日からのカムバックの準備についていけるだろうか。
あぁ、明日が怖い。
いつの間にこんなにいっぱいいっぱいになっていたんだろう。
自分がしたくて選んだ道なのに、時々襲われる不安に負けそうになる。
これ以上、考えたくなくて、
イヤフォンをつけ適当にプレイリストを再生する。
そのままぎゅっと目を閉じる。
そして、祈る。
どうか、明日には私は前を向いていますように。
そうして、私は意識を手放した。
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作者名:もなか | 作成日時:2022年10月4日 12時