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「A、そろそろ俺たちは帰るよ」
「そうですか、今日は忙しい中来てくれて嬉しかったです」
「当たり前じゃん、ウリAの晴れ舞台だからね」
「ふふっ、ありがとうございます」
「ジフンオッパがいなくなったからって悲しくて泣かないでねウリキヨミ」
「泣いたことないですけどね？」
オッパらしく声をかけるヒョンソギヒョンと、
Aのほっぺを包んでうりうりと揺らすジフニヒョン。
慣れきってるAはなんの反応もしない。
こう、日常の風景を見てると
余計さっきのがなんかの夢だったのかと思う。
『A』
『ん？』
『残り、頑張ってな』
『うん！』
『あと、今日のさ、俺、恋人にみえた？』
『うん、もちろん』
『もしかして惚れた？笑』
『うん、惚れてたよ』
『は？』
『"あの時"の私はね？』
いたずらに成功したみたいににやっと笑う。
仕掛けたのはこっちだったはずなのに、なんだかまんまと掛かった気分になる。
Aのさらっと言う言葉にいつもどきっとして、
そういうので俺が勝った試しがない。
多分これからもそうだろう。
なんとなく予想がついてしまうのも悔しいけど。
俺が少し怪訝な顔をすれば、
Aは『ごめんごめん』と笑いながら言う。
目を細めてにこにこと笑う顔。
それはやっぱり愛おしいもので、
まぁ、一生かなわなくてもいいかとも思った。
Aに挨拶をして、手を振り外に出る。
車に乗り込んで外の景色を眺めていると、
思い出す今日のこと。
車ではヒョンたちが今日の感想を色々と話しているのがぼぅっと聞こえるけど、
頭には残らない。
何とも、濃い一日だったな、
気持ちが忙しい。
まぁ、1つ分かったことといえば、
Aは、何よりも美しく、愛おしい存在だということ。
いつか、俺だけのものにできる日は来るのだろうか。
いや、そんなこと、考えるだけ無駄だな。
そう小さくため息をついて、目を閉じた。
愛おしい人、いつか、俺の元へ…
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作者名：もなか | 作成日時：2022年10月4日 12時
