吾輩はヌナでありヒョンである (ページ35)

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○ペンサは程々に8 ページ35

『これから気をつけるから！もう、馬鹿にして！ハニのばか！』

「ちょっとー、図星だからってクッション投げないでくれる？それに馬鹿にはしてない、呆れてるだけだから」

悪びれるどころか尚更馬鹿にしてくる。これだから中身ジャイアンはムカつく。外見と性格のジャイアニズムが中和出来る範囲を超えている。

『けどハンソルは褒めてくれたもん』

「なんて？サイン会でペンサが良かったとか？」

『えっ！なんで知ってるの？』

「俺って耳いいから～、ハンソルがお前のペンサが凄いってサイン会終わりに話してるのをチラッと聞いたんだよ」

『うわ、下の子達の話に聞き耳たててんの…ハニこわ…』

「ちょっと褒められて浮かれてるお前にそーいうこと言われたくない。ジスにもまだ伝えてないくせに。ほら、早く味選んでよ」

『夕飯の時に伝えるし…』

褒められて浮かれるのがなぜ悪いのか。
かわいいハンソルに褒められて気分がいいのを害されるのはたまったもんじゃないと、絡まれるのも嫌になって適当に味を決めた。

『な、なに』

「ん？」

すると、なぜかジョンハンがベッドに座る私の前にしゃがみ込む。
下から私を覗き込むような体勢のジョンハンは相変わらずムカつくくらい綺麗な顔で、全部見透かされそうな感覚に目を逸らした。

「目逸らすなよ～、…ハンソルに褒められて嬉しいなら俺だって褒めてやるから」

『なに急に』

「お前の頑張ってるのは俺だって知ってるの。サイン会とか、女だってバレるの怖かったのによくやったなって」

『…それは、』

サイン会で一番の恐怖であり、バレないように気を張っていた事を当てられて、私は言葉が出なかった。
ベッドに腰掛ける私の膝に腕を乗せ、「当たりだろ」と首を傾げる仕草もずるいくらい様になっている彼を見下ろす。

(なんでこの人にはバレるんだろ)

図星でなにも言えずに黙っていると、何を思ったのか彼の手が私の髪に触れた。