吾輩はヌナでありヒョンである (ページ36)

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○ペンサは程々に9 ページ36

「俺とおんなじ。」

『長さちょっと違うし…』

私の髪を掠める長い指を目で追う。
眼前で揺れた髪は長さも色もジョンハンと同じぐらい、それは同じシャンプーを使っているから匂いまで同じの私とジョンハンの共通点。
真似をしたわけではないにしても、メンバーにすら間違われる事がある。

(お兄ちゃん、って居たらこんな感じなのかな)

ペンの人達と一番近く接するサイン会を女とバレないように始終自然に心掛けていた事。気張っていた気持ちと肩の重みがジョンハンに指摘されてぱらぱらと砕けていく。

「…俺はいつだってお前の味方だし。」

それに、と続ける。

「俺と居れば女だって事もバレにくいだろ」

さらり、また、ハニの骨ばる手が私の髪を掠める。
くすぐったさに身をすくめると、ジョンハンが笑ったのを見て顔が熱くなった。

『まって、ハニがずっと髪切らないのって』

「別にお前の為ってだけじゃないけど、…それも含まれてるのは確かだな」

なにそれ、ずるい。
女みたい、とかロン毛とか散々言われてきたのに切らないのは私の為でもあるとか、最高にずるい殺し文句だ。
面と向かって言われた事で顔が見れない。

『…もうジョンハンの髪が暑苦しいとか言えなくなっちゃう』

「はは、言われたら言い返すだけだし。ほら、かわいこちゃん？ジョンハニオッパが立たせてやるから立って」

腕を取られて立たされると、無理やりジョンハンと見つめあう体勢になる。目線の変わらない彼は私を目を細めて見つめる。

「お前は俺たちが守るから。」

『達って…みんな巻き込む気満々じゃん』

あまりに真剣なジョンハンに笑いが込み上げる。

(気負わせていたのは私もだったのか。)

ハンソルも、さっき褒めてくれたのは遠回しに元気付けてくれたのかもしれない。
胸が暖かくなる。ジョンハンに掴まれた腕を解いて手を握った。

「A？」

『私も、みんなと居たい。ハルとして、応援してくれるペンの人たちと、メンバーのみんなともっとこれからも走って行きたい』

ジョンハンの手をぎゅ、と握る。
途端に自分が言ったことに照れ臭くなってジョンハンの手を引いたままドアへ向かう。

『鍋の素、早くもってこ！』

「お、おお」

忘れず鍋の素をジョンハンに持たせて部屋を出ると、
なぜかミンギュがドアの前に居てばったり出くわした。