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「あら、不死川さん。珍しいですね?お怪我は…なさそうに見えますけど」
「胸が傷むんだァ…。ある女が取り憑いているのかもしれねぇ」
「……なに訳の分からないことを」
まぁ落ち着いてください、と困ったように笑う胡蝶。
診察台に横にさせられ、聴診器で俺の胸の音を聞いていく。
「特に問題は見受けられません。外傷もないですし。ところでその、ある女、とは?」
俺は先日の出来事を話した。
胡蝶は宇髄のように笑わず、伊黒のように馬鹿にするわけでもなく、俺の話を真面目な顔をして聞いてくれた。
「わかりました。」
「オイわかったのか?病気か…?!」
「まぁ病名をつけるとしたら、恋煩いといったところでしょうか」
「…………は?」
ふふふ、と口に手を当てて笑う胡蝶はどこか大人びていて、俺よりいくらか歳上なんじゃないかと錯覚してしまうほどだ。
「不死川さんは、ご自身のお気持ちに気づいていないようですけど」
「……………」
「Aさんの笑顔を見たことはありますか?」
「………無ェ。」
「一度笑顔を見たらきっと、今後はAさんの笑顔が頭から離れなくなりますよ」
「……どういうことだァ」
「そして、また見たいな、と思うはずです」
「……………」
認めたくなかった。
俺もそこまで馬鹿ではねェから、これが病気な訳あるまいと、本当は気づいている。
ただ……誰かに否定をしてほしかっただけなのかもしれない。
「Aさんなら、先日の任務で怪我をなさって入院中ですよ。2つ隣の病室にいらっしゃいます」
俺は胡蝶に礼を言って、この部屋を出た。
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もみじ(プロフ) - 覚悟を決めし者さん» 決めしちゃんありがとう!(;;)私はここではお話投稿しなくなるけど、相変わらず決めしちゃんのファンだし、これからも決めしちゃんのお話を読者として楽しみにしてるね^^才能に溢れた決めしちゃんが大好きでした!ビッグラヴ!!!! (2021年3月27日 19時) (レス) id: a7517d1b2b (このIDを非表示/違反報告)
覚悟を決めし者(プロフ) - 短い間だったけれど、仲良くしてくれてありがとう……!もみじちゃんと出会えてよかったです!!連投ごめん!!!!ビッグラヴ!!!!! (2021年3月26日 22時) (レス) id: 37c69db3c0 (このIDを非表示/違反報告)
覚悟を決めし者(プロフ) - もみじちゃん……!!コメントが遅れて申し訳ない( ; ; )完結おめでとう!!!恋愛に鈍くて初心な不死川さんらしさが溢れた素敵な作品でした……!!もみじちゃんが占ツク卒業しちゃうの死ぬほど寂しいけど、ずっと応援してるからね!! (2021年3月26日 22時) (レス) id: 37c69db3c0 (このIDを非表示/違反報告)
もみじ(プロフ) - 蓮さん» 蓮ちゃんありがとうっ!もう蓮ちゃんに言いたいのは……ただただ大好き!!!!それだけ!!!!これからは蓮ファンクラブ代表として読み手にまわるね^^本当にありがとな!!! (2021年3月25日 16時) (レス) id: a7517d1b2b (このIDを非表示/違反報告)
もみじ(プロフ) - 古猫丸さん» わっ…まさか古猫丸様からコメントをいただけると思っておらず震えておりますっ。私には勿体ないお褒めのお言葉…本当に嬉しいです。ありがとうございます(;;)私、古猫丸様の書く煉獄さんがすっごく大好きなのでこれからも読みにいかせていただきますね^^ (2021年3月25日 16時) (レス) id: a7517d1b2b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もみじ | 作成日時:2021年3月1日 19時