嗚呼、すばらしきこの世界2

薬指 続（9）リクエスト ページ7

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結局あの後、ズルズルと彼の沼に引き込まれ関係が続いていた。私自身、惚れないと意気込んでいたのにいつの間にか彼の出す雰囲気、仕草、その他諸々に惹かれていた。




「 …やっぱり、呼んだら来るんだ。 」

「 悪い？ 」

「 ううん、可愛いなって。 」




いつも彼の雰囲気に押されて、拒むことが出来なくて、悔しいから可愛げのない態度を取る。その方が彼も私を抱きやすいのかなって思ったから。そして私は彼に抱かれることが幸せだったから。だけど、彼の意外な一面を知れば知るほどいけない事をしているという自覚が沸いて止まらなかった。


私なりに愛想つかされるような態度を取っていたけど、それが彼にとって興奮材料になるらしく、いつもより情熱的に求められたりして別れることが出来なかった。





「 ねぇ、あのさ…奥さんってどんな人？ 」




私から別れを告げることが出来ないのなら彼から告げてくれるようにするために、デリケートな所への質問をする。…と言ってもただ純粋に私も知りたかった。彼を射止めた女の人を。





「 …それ、今聞く？ 」




はっきりいってしまうと今私たちの状態は事後。いわゆるピロートーク中。彼…もとい薫が苦笑いをしながらそう呟いた。




「 んーとね、とにかく元気って感じ。無邪気で子供っぽくて…Aとは真逆の見た目と性格かな。 」

「 …そうなんだ。私とは真逆…か。 」

「 うん。…Aはね、抱いてる時が1番可愛い。恥ずかしがりながら俺の名前呼んだりするとことかが好き。…Aは？俺のこと好き？ 」





…いつの間にか、話がすり替えられている気がする。


でも、もういいや。こんなにもがくくらいなら、もう別れなくてもいいのではないのだろうか。それでも罪悪感が心を支配する。タイミングを見計らったかように丁度良くキスをされた。彼のふっくらとした唇の感触が脳内をふわふわにさせる。





あぁ、またダメだった。





何が何だか分からなくなる脳内で唯一分かることは、心は泣いていると言うことだけだった。









end

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