8口 ページ8
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俯いて震え出した私を見て、土方さんが私に目線を送る。とても悪いが反応していられるほど落ち着きがなく、周りの音が一切聞こえなくなる感覚に陥った。
「…A様！落ち着いてください。落ち込んでも結果は変わりません」
「ひ、土方さ…」
そんな時土方さんに名前を呼ばれ、上を向くと目の前には土方さんが真剣な顔で立っていた。私の肩に手を添え、優しく、だけど少し喝を入れるような声は私を奮い立たせる。
「…ま、まずは兄上に連絡します」
そう言って私は病室を出る。廊下に出て、スマホの連絡帳から兄の名を探す。江戸城に将軍のお世継ぎとして出ていった兄。今思えば連絡するのはいつぶりだろうか。
スマホからは冷たい待機音が流れている。少ししてから「もしもし？どうした？」と久しぶりに聞く優しい声が。
兄がいることを実感したことで1人では無いことが再確認できた。私は1人では無い。
「…父様が攘夷志士に襲われた天子様を庇って今重傷を負った」
「なっ！それは本当だよね？わかった。今どこにいるの？俺も行く」
「大江戸病院…」
「了解。教えてくれてありがとう。だけど今将軍様と大事な話中で抜けられないんだ。明日の朝Aも来れたら病室にいてて」
じゃあまたね、と言ってプツン切れた電話。不思議なことに体の震えは収まっていて、あれだけ怖かった思いももう消えていた。
私は病室に入り、土方さんたちの方へ向くと頭を下げる。
「ありがとうございます。きっと父上の護衛としてここにいらっしゃるのでしょう？ありがとうございます、本当にありがとうございます」
「な、なんと！A様ともあられる方が簡単に頭を下げてはなりませんぞ！顔をあげてください！」
近藤さんがあたふたしながら頭を上げさせると、少し照れたように笑い、「私達は人を護るのが仕事ですから」と自信溢れる声色でそう呟く。
「…人を、護る…ですか」
おもわず呟くと、近藤さんは「えぇ！トシも総悟も私も、この仕事に誇りを持ってるんです」と人懐っこい笑みを浮かべた。
土方さんと沖田さんを見れば、「アンタが好きだからやってんだよ」とでも言いたそうな顔で近藤さんを見つめていて、不意に笑みがこぼれた。
「…かっこいいですね、とても」
お世辞なんかではなく、心からそう思ったのだ。
自分の仕事にただ真っ直ぐに誇りを持つことが出来る、ということはどれだけ凄いのか私は知っている。
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続く (更新停止中)
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ミーこ(プロフ) - さちさん» ありがとうございます☺️❤️🔥なにせ私が土方さん推しなものでして笑 (2022年11月6日 19時) (
レス) id: 3ecbe7c0be (このIDを非表示/違反報告)
さち - 続きが気になります！土方さんいいですよね。 (2022年10月31日 17時) (レス) @page6 id: 0e3bc286c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミーこ | 作成日時：2022年10月10日 19時
