依存 ページ5
「へ…?」
ぽかんとしているのは私だけでなく、新八くんもだった。「銀さんっ!いいんですか、本当に!?あれだけ僕に言ったのに」と少し戸惑っているほどだった。
「あァ。今考えればAは俺だけに呼び捨てだしな」
私は嬉しくなって、銀時に抱きつく。「ありがとう、銀時!私、嬉しいよ」そう言うと、「抱きつくんじゃっ、いや、やっぱりこのままで」「何アルかー!それ!」みんなであはは、と笑った。万事屋で心から笑ったのはいつぶりだろうか。
「A、行ってくる」
「うん、行ってらっしゃい」
毎朝、行ってきますのキスをする。銀時の唇が私の唇に軽く触れる。その行為に新八くんは未だに照れる。神楽ちゃんが「ひゅー、お熱いアルなぁ〜?」と野次をいれる。
「うるせーな!銀さんはうさぎだから愛されてたいのー!」
と、軽い言い合いをしながら万事屋を出ていった。最近、とてもいい傾向に向かっている。その事実がとても嬉しかった。神楽ちゃんと銀時が話していて、神楽ちゃんがとても嬉しそうに感じる。
ここ数週間は暴力も無くなった。それが嬉しかった。きちんと銀時の約束を守り、新八くん以外の男性とは喋らない。
「Aに会いたいっ」
「うるせーヨ、マダオ。早く働け」
「もう、銀さんっ!Aさんはいつでも貴方のそばにいるでしょ?」
私が買い物している間、後ろからそんな話し声が聞こえた。私は振り返る。すると、銀時と目が合う。私は銀時の方に走り、抱きつく。
「銀時っ!こんなとこで会うなんて!」
へへ、と笑う。銀時も釣られて笑う。「いや、Aのためになんかスイーツ買ってこようと思ってさ」と言った。私はこんな日々が続けばいいと思っていた。
「えー、そんな。ありがとう…!あのね、私もいちご牛乳買ってて」
「うわ!まじでか!?…考えてること同じになってんな」
私の手を優しく握り、そう呟いた。私は照れて顔が赤くなる。いつもこんな優しかったら…なんて、頭の中で考える。
「…じゃ、お前ら先帰っとけ!俺ァAといっからよー」
「はーいわかったアル!」
「あんま寄り道しちゃダメですよー?」
神楽ちゃんが「また後でナ!」と手を振る。新八くんも、遠慮がちに手を振ってきた。私も振り返す。
「またね!神楽ちゃん、新八くん…酢昆布とかお団子とか買ってるから、食べといていいよ」
2人を見送ると、銀時は私に抱きつく。
その体温が気持ちよくて、幸せだった。
33人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ミーこ | 作成日時:2021年3月21日 21時