イロイロナイロ 〜紫･青〜 ページ14
ーyasuー
｢よろしくお願いしま〜す｣
美大生の僕はこうして週末に時々、病院で絵画教室を開いている
生徒さんは主に入院中の患者さん。
子供からお年寄りまで年齢層はバラバラやけど、今日は子供向け教室やから、元気な声がたっくさん聞こえて
｢お前なんやねんそれ！むっちゃ変やで｣
｢えぇ！？どこが変なん？かっこええと思うねんけど…｣
言い合いしてるのが6歳のまると5歳の亮。
亮はずっとまるにくっついてる。
嫌よ嫌よも好きのうちってまさにこのことやな♪
｢なぁ、章ちゃんもそう思うやろ？｣
｢全部オレンジで色塗ってんで？キショいやん｣
｢だってシャケはオレンジで塗らな｣
｢背景までオレンジやなくてええやん｣
ほらな
｢好きなように描いたらええねんで〜｣
ってまるの頭をポンポンすると、章ちゃんは甘すぎんねんって拗ねる亮。
同じように頭撫でてあげれば、頬が緩むんが可愛いとこやな
さてさて〜
｢たっちょんは何描いてるんー？｣
亮とは反対側のまるの横で一生懸命手を動かしてるのは4歳の忠義くん。たっちょんって言うねん
｢かれー！ちゅるちゅるらーめん！くりーむちちゅー！はんばーぐ！えっと、つぎはおにく！あ！たこやきもかかな！｣
たっちょんが描いてるのは大抵食べ物
｢美味しそうやね！｣
｢たっちょんの好きなやつ！お家に帰ったら食べるねん！しょーちゃんは何がすきぃ？｣
食事制限が厳しくて今は自由に食べれないから、こうして絵に描いて紛らわせてるんやと思う
｢僕はな〜お餅が好き！｣
｢おもち…？｣
あれ、もしかして、お餅知らんかった…？
｢おだんごにする！｣
うん！おなかいっぱいになってくれればええや！
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作者名：時音 | 作成日時：2021年7月23日 22時
