煉獄さんはむつかしい

32話 ページ33

「ちょうど戦力足りねえかなって思ってたとこだしA、ちょっとやってくれよ。」






「宇髄何を言い出すんだ!!!」

『了解』





「A！」


『はいはい大人しくしてねー！』



「A！やめてくれ！！！」






20分後…






杏寿郎は少し冷たそうにも見える吊り目の
美女に変わり、眉間にシワを寄せて、明らかに不満そうに立っていた。






　
筋肉が凄くて着物選ぶの大変だったよ





「おおっ…！すげえわA!!!やるなお前‼嫁に来るか？」


　
『いや、遠慮しときます。』


「…宇髄。」






「冗談だっつうの。…これで煉獄も遊女としていけるな。

「宇髄!!!俺は了承してない!!!!」



……それなら許してくれるんだろ？」






『まあ、はい。』




私が答えると、
考えただけでおぞましい、信じられないという顔をした杏寿郎が私を見つめてきた。






『大丈夫！杏寿郎綺麗だよ！』
「驚くほど嬉しくないな！！！」









そして結局、杏寿郎は遊女として戦いに行くことになった(強引)




『行ってらっしゃい。皆さん』





見送りに出てきた煉獄家のみんなと一緒に手を振る。









私は杏寿郎を呼び止めた。





『杏寿郎…。

ごめんね。無理やり女装させちゃって…。』






「……………いや……気にしていない。」




いや嘘でしょ。超根に持ってるでしょ。
　


『……自信持って‼とっても可愛いよ。
私の数億倍、綺麗！！！』



「…そういう事を言っているのではない。
そして君より美しい人などこの世に存在しない。」









この人真顔で何を言い出すんだ。




　
『…………ありがとう…そういうのいい…。
とりあえず任務で死んだら殺すわよ』






杏寿郎は突然の殺害予告にぎょっとして目を開いたあと、ハハッと笑った。
　



「ああ！俺にはまだ死ねない理由がある！

…………君との逢引の約束がまだ残っているしな！！！」





微笑みながら私を見つめる杏寿郎。

かっ可愛い…





それにしても…あれって逢引って約束だったっけ………？








『……まあ………気をつけて…！

逢引、楽しみにしてるから！…行ってらっしゃい！』



「ああ！！行ってくる！！」





そう言いながらにっこり笑った杏寿郎は凄く綺麗で少し儚く見えた。









。









　
杏寿郎が大怪我をしたという知らせを聞いたのは一週間弱後のことだった。

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