煉獄さんはむつかしい

18話 ページ19

私の好きな人を侮辱するな。









『いい加減にしてください。

あなたみたいな人とは一緒になりたくない。
すみませんがこのお見合いの話はなかったことにして頂きます！！』






そう店中に響き渡る大声で叫んだ。




店中の人がこっちを見た。




勿論杏寿郎も、柱の皆も。

しばらくして店のざわめきはもとに戻ったが、私達は黙ったままだった。








「……Aさんついてきなさい。」


弘さんが私の腕を掴んで、店の外へ連れて行こうとした。



『ちょっと！

ぜんざい食べ終わってないですよ！無駄になっちゃいますよ！

馬鹿なんですか！！食べ物無駄にするなって言われませんでしたか？馬鹿なんですか！！』


もう気を遣う必要もないので罵詈雑言を浴びせる。

「何、すぐに戻りますよ」







弘さんによってくらい路地裏のようなところに連れ込まれた。



嫌な予感がする。






「……Aさん。

いくら照れ隠しといえど、僕に恥をかかせましたね？お仕置きが必要だな」









…っ何を言ってるの？この人は。


『…照れ隠しなんかじゃありません!!!』



大声で言うと口を手で塞がれた。

「……Aさんは少しやんちゃなところがあるようだ。

……僕の妻となる人なんだから僕が直々に、女とはどうあるべきか教えて差しあげます。」







必死で声を出そうとするが、その抵抗も男の力には敵わない。



弘さんは少し笑って私を見、そして私の口にやっていた手を離した。





私は必死に助けを呼んだ。大声で何度も叫んだ。



「いくら助けを呼んだってこんなところ、誰も来やしませんよ。」


そう言って、乾いた笑い声をあげた弘さんが顔を近づけてきた。







………やだ…きっも！！！









あと少しで唇が触れ合う。

…………誰か、！









「何をしている」









静かな怒りの声だった。

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