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今見ている彼らだって、彼でも知らない一面がきっとあるはずです。
そのすべてが重なり合い、人の命は成り立っています。
善の中に悪が、悪の中に善が混じりあったその命、それを裁けるものなど、神以外にはあり得ないのかもしれません。
舜太「よし……。難しい話はこれで終わりにしよう……。そろそろ、行くか」
重い腰を上げ、舜太は腰に刀をぶら下げました。
人は裁けずとも、鬼ならばその範疇を超えているでしょう。
そして、鬼を斬るべく、舜太たちは再び歩き出すのです。
しかし。
仁人「っ!?」
太智「仁人先生?どうかした?」
仁人「血の……臭いがいたします……!」
川の水の臭いに混じり、ほのかに香る、不吉を告げる血の臭い。
舜太「まさか、鬼?!どこからだ?!」
仁人「……先ほどの、洞穴のあたりから……!!」
その血のにおいは、佐野と戦ったあの洞穴のあたりから漂ってきておりました。
舜太「……俺は戻る。鬼がいるなら、俺は斬る!!」
いつも血の臭いの先には鬼が待っていました。
今回も、そうじゃないとは言い切れません。
舜太の目は、まっすぐに来た道を見すえておりました。
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作者名:milkssss | 作成日時:2020年7月13日 21時