M!LKで桃太郎其の壱 (ページ8)

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この広大な中津国(なかつくに)には、首都である明安京を中心に、大小さまざまな村が存在しておりました。
しかし、数年前から現れた鬼によって、人の数は減少、かつての活気はどこへやら。
鬼にはどんな武器も効きません。
ただ過ぎ去るのを待つしかないのです。
まるでそれは、台風や地震と言った災害そのものでした。

舜太「どこだ……鬼め……。殺してやる……。殺してやる……！」

けれども、一人の少年は、鬼を憎み、復讐の為に広大な中津国を彷徨(さまよ)っておりました。
鬼は神出鬼没。
いつどこから現れるのか、誰も知りません。
だからこうやって、地道に歩いて探すしかないのです。
しかし、舜太が鬼を探してもうかれこれ一週間が経とうとしていました。
何の手掛かりもなく、すでに自分がどこにいるのかもわかりません。
これまでお爺さんとお婆さんの家から、ほんの三町(※)ほどしか出歩いたことのない舜太にとって、これほどまでに外の世界を見て回ったのは初めての経験でした。
けれど、今の彼にとって、外の景色などほとんど意味を成しません。
眼中にあるのは、鬼の首のみ。

舜太「一匹残らず、俺が殺してやる……」

そう心に誓い、彼は歩き続けました。
そして、丁度山を二つ越えたところで、ようやく舜太はその姿を目の当たりにするのです。

※三町=約330m
　