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舜太「ん？もちろん、それで何匹も斬ってきた」
仁人「太智殿、とおっしゃったか？もうその辺でよいであろう？さ、その刀を舜太殿にお返しください」
太智「待って待って……もう少しだけ……」
食い入るように刀身を見つめる太智。
刀身をゆっくりと鞘に納めると、勢いよく舜太たちの後ろを指差して、こう叫びました。
太智「あ！！あんなところに鬼が！！」
舜太「何？！」
仁人「鬼……？！」
けれど、振り返ってもそこには静かな森が広がるばかり。
鬼の姿など、どこにもありやしません。
仁人「しまった……！」
仁人は何かに気が付き振り返ると、そこにはあの太智と言う青年の姿さえもありません。
仁人「舜太殿！いつまで鬼を探しておられるのです！鬼などいやしません！あの刀、持っていかれてしまいましたぞ？！」
舜太「ええ？！！」
太智「へへ！この刀、ありがたくもらってくね！！」
すると、またもや木の上から声がし、見上げるとすでに太智は高い木の上でこちらをせせら笑っているではありませんか。
舜太「こら降りてこい！この
太智「大丈夫！！用事が終わったら返すから！じゃあね！」
そう叫ぶと、太智は木から木へ飛び移り、ある方向へ去っていきます。
舜太「ああもう！！待てこの野郎！！」
仁人「だからやすやすと渡すなと言ったのに！！」
舜太「だ、だって……」
仁人「っ！！！」
仁人に
仁人「お待ちください舜太殿！」
舜太「何だよ？！早く追わないと刀が！」
仁人「あの太智というものが向かった方向から……数多の"血の臭い"がいたします……！」
舜太「血の臭い？……何も臭わないけど？」
くんくんと周りの臭いを嗅いでみますが、木々の青臭い臭いしか感じません。
けれど、仁人にははっきりと血の臭いが感じ取れるようでした。
仁人「私は幼少の頃より、他の人と比べてまるで犬のように鼻がよく利くのです。特に医者として怪我人をよく診ていたせいか、血の臭いは特に……」
舜太「まさか……鬼が？！」
仁人「わかりません……でも、心してまいりましょう！」
そして、二人は太智を追うとともに、漂う血の臭いを辿ってある方向へと向かうのでした。
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作者名：milkssss | 作成日時：2020年7月12日 18時
