M!LKで桃太郎其の壱 (ページ16)

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舜太「俺は……舜太……」

仁人「そうですか。舜太殿……いいお名前ですね。お母様に名付けてもらったので？」

舜太「いいや……。俺に母はいない。もちろん父も。俺にいたのは、お爺さんとお婆さんだけだ」

仁人「これは失礼しました……」

舜太「別に……。お爺さんもお婆さんも、俺を本当の子のように育ててくれた。俺にとったら、二人は本当の親同然だった……」

仁人「だった……？」

舜太「……。もういいだろう……。それより、俺が倒れてるのを見つけてから、どれぐらい経ってるんだ？」

仁人「そうですね……。もうかれこれ五日は寝ておられました」

舜太「そんなに？！」

あの村で鬼を切り殺してから、どうやらすでに五日が経過し、その間舜太はずっと眠っていたようです。
自分がこんなに眠ている間にも、鬼はどこぞやに現れて、また人里を襲っていたかもしれません。
そう思うと、舜太は気が気ではなくなりました。
もうそんな悲劇を目の当たりにするのはごめんです。
一刻も早く、鬼を皆殺しに。
瞬く間に舜太の中に流れる鬼への復讐心が、めらめらと熱くたぎっていくのです。
　