第二話 ページ14
暗い山道を、息を切らして走っては転び、走っては転び。
辿り着いた家には、優しく灯る
扉を開けて中に入ると、お爺さんとお婆さんが笑顔で迎えてくれました。
ただいま
おかえり
いつもの何気ないやり取り。
いつもの笑顔。
しかし、突然行灯の明かりが消え、辺りは真っ暗闇。
何も見えず、何も聞こえない。
手探りで扉を見つけ出し、勢いよく開けて、月明かりで辺りを照らすと、そこは真っ赤な世界。
血にまみれた、真っ赤な景色。
お爺さんも、お婆さんも、全て真っ赤に染まって、もう動かない。
そんな世界が目の前に。
舜太「っ!!!」
けれど次の瞬間、気が付くと舜太の目に入ってきたのは、わらぶき屋根が広がるどこか見知らぬ天井でした。
辺りを見回せど、やはりここは知らない場所。
誰か人間の住む小屋の中、ということしかわかりません。
そしてどうやら、舜太は布団の上で横になっている様なのでした。
布団の横には、自分の刀と、見知らぬ湯飲みが一つ。
なぜこんなところにいるのか、しばらく考えて記憶をたどってみますが、何も覚えていません。
どこかの村で鬼を殺した後、森を彷徨って、それから…。
舜太「痛っ!」
体を起こそうとしますが、胸やわき腹、首筋のあたりに激痛が走り、舜太は顔をしかめました。
しかし、自分の体を見てみると、これまた不思議なことに、包帯が丁寧に巻かれているのです。
誰がこれほどの事をしたのか、舜太の疑問は、しかしすぐに解消されることになります。
「おや、気が付かれましたか?」
舜太が寝ていた小屋の戸が開き、誰かが入って来たのです。
7人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:milkssss | 作成日時:2020年7月12日 18時