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媼「あぁ、なんてこと……!」

なんとそこには、生まれて間もないほどの赤子が赤い風呂敷に包まれて眠っているではありませんか。

翁「婆さんや!これは大変じゃ!」

媼「何でこんなところに……」

お婆さんは急いで箱の中から赤子を抱きかかえると、その顔を覗き込みました。
頬を赤く染めて、その子は眠っています。

媼「あぁ、なんて可愛らしい寝顔じゃ……」

翁「もしや、捨て子かもしれん……。川上の誰かが、この箱に入れて流したのやもしれんなぁ……」

赤い箱には、もう何も入っていません。
何故この赤子がこの箱に入っていたのかも、何故白い箱と共に川を流れていたのかも、誰が流したのかも、何も分かりません。

媼「何て可哀想な子じゃ……。お爺さんや、私はこの子を立派に育ててあげたい……」

翁「そうじゃな。わしらで、この子を生かしてやろう……」

たった一人川を漂流していたその赤子を不憫(ふびん)に思ったお爺さんとお婆さんは、その子を自分たちで育ててあげることにしました。
きっと立派に、幸せにしてあげるから、そう願いを込めて。


 

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作者名:milkssss | 作成日時:2020年7月12日 18時

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