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思わず、息を呑む。となりの冬島も一瞬呼吸を止めたのがわかる。
「 おいおい、 」
「 えー 」
「 、どうしましたか？ 」
決まりだね。誰かはこうなるだろうなとは思っていたが、全員そうだったか。
冬島も少し動揺しているのが気配でわかる。これは、上のミスだ。
「 ちょっと時間くれ 」
冬島が内線を入れてきた。
三門市は軍事国家ではない。近界民からみたら玄界の一部である界境防衛機関は国家と相違わない。でも、それでも、ここは国家となってはいけない。学生を子供を多く戦わせているのは近界でも少ない。だから、界境防衛機関は界境防衛機関である必要がある。地球において日本三門市の独立した機関というあやふやな立場、近界において急速に成長している国という認識。しかし、隊員には界境防衛機関は玄界を守るために戦うヒーロー。
その認識を国家に、戦場に変えるのは容易い。幹部かA級隊長が近界民と戦っているところを見せればよい。または、全隊員に学校に行けない状況に追い込めばいい。職場はまだいい。国はアウトだ。
「 あの、頑張って書いた計画書は泡となって消えたのであった… 」
「 またあの最悪な会議が開かれるんですか…？ 」
「 A級だからじゃないです。多分、遠征組 」
「 あぁ〜遠征ってこっちの言葉じゃ、部活でするもんなのに… 」
「 隠蔽、しますか 」
「 まあそれしかないか 」
「 太刀川、風間、迅、加古、月見 」
彼らも内部通話をしていたのだろう。突然の声に鋭い視線を向ける。
「 おにーさんたちに、ちょーとだけ協力しようね〜 」
「 冬島さんたち、悪役じゃん 」
「 協力、というのは？ 」
「 まあ、この件をちょーっと上に隠蔽するだけ 」
「 …自分たちのせいですか？ 」
「 いや。それは違うな 」
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作者名：ももさん | 作成日時：2021年9月8日 16時
