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《マサイ》嫉妬 ページ5

この一瞬の間に

何が起こったのか

まったくわからなかった。

マサイが静かに機材を床に下ろしたな

と思ったら

手首をガッとつかまれて

マサイの家の廊下の壁に

押し付けられたことしかわからない。


あ「え、あ、マサイ?」

マ「……」


せめて

何か言ってよ。


あ「マ…マサイ、腕痛い」


そう言ったとたん


あ「…っ!!」


手首をつかむ

マサイの細くて長い指に

強い力が乗った。

ギリ

と手首が軋む。


あ「マ、サイ…いたっ」


力はどんどん強くなる。

身長差が大きいから

迫力はすごい。

いつもの彼じゃない。

怖い。


あ「マサイ!!」


強く叫んでも


あ「あっ…いったぁ…離して、マサイ…」


泣きそうになっても


力は弱まらない。


あ「怖い、よ。怖い、マサイ…」


熱いものが

目から頬へ伝った。

それを見たとたん

マサイの手の力が緩んだ。

緩んでも

恐怖で強ばった体は動くことができなかった。


マ「あ……」


ようやく我に返ったマサイは

赤くなった私の手首を見るやいなや

真っ青になって手首をとった。


マ「ごめん、ホントごめん、俺、今…」

あ「大丈夫、これくらい平気だよ」


ようやく元に戻ったマサイは

さっきまで力強く押し付けていた手首を

今度は優しく包み込んだ。

いつものマサイの

優しい手だった。


マ「赤いな…これ、手形になっちまってる」

あ「あ、ほんとだ」


赤くなったアザは

くっきりと手の形をしている。


マ「ホント、悪かった」


手首のアザを撫でながら

うつむきがちに呟いた。


マ「俺、なんか、おかしいんだ」

あ「え?」

マ「お前がシルクと仲良くして、くっついたりするたび、なんかこう、苦しくなる」


そういいながら

落ち込むようにしゃがみこんだ。


マ「前までは何ともなかったのにな」


相変わらず手首は包み込まれたままで。

暖かなマサイの手の温度が

心地よかった。


マ「怖かったよな。ごめん、俺がおかしいせいで」

あ「おかしくなんてない!」

マ「!?」


咄嗟だったから

自分でも驚くほど大きな声が出た。


あ「おかしいのは、私も」

マ「え?」


顔が熱い。

たぶん、手も。


あ「マサイにそうやって思われて

うれしいと、思ったから…」


マサイが顔を上げた。

すごく驚いていた。


マ「顔、赤い」

あ「知ってる、うるさい」


包み込まれた手首を

また強く引かれた


あ「うぁ」


2秒後には

広くて暖かい

マサイの腕の中にいた。

☆《ンダホ》アスレチック→←《マサイ》嫉妬



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林檎 - 長文失礼しました。更新頑張ってください! (2016年7月27日 23時) (レス) id: 8eb33a0bf7 (このIDを非表示/違反報告)
林檎 - 面白かったです!余談ですが、風邪を引いたときにウィダーインゼリー飲む人ですか?ぺけたんの話を見ていたら、出てきたので・・・私はお粥があまり好きではないので、ずっとウィダー飲んでいますw (2016年7月27日 23時) (レス) id: 8eb33a0bf7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:HERMÈS | 作成日時:2016年6月26日 16時

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