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ヒトリゴト 【ざかお】 ページ13

「ざかおくん」

「何ですかAさん」

「 」

「え、」









「Aさ、まって、もっかい!」


がばぁっと

スプリングのよくきく真新しいベットから飛び起きる。

今見ていたのが夢だと気づくのに

一分ほど消費した。


「は、ははは」


口からは乾いた笑い声しか出ない。

窓から見える空は

朝と呼ぶには暗すぎて。


「また、こんな時間に」


最近、眠れない日が続いている。

かろうじて眠れたとしても

今日のように、夢を見て

2時間足らずで目が覚めてしまう。


「だる…」


寝直す気にもならない。

枕元に置いてあるはずの煙草に手を伸ばす。

しかし、中は空洞で。


「あー、くそ、」


頭が回らない。

もう一度ベットにダイブした。

ぎしっと、やけに大きな音が部屋に響く。

ふと、あの人の顔が脳裏をよぎった。


「どこにいるんですか、」


ぽつりと

呟く。

自分の声だけが

真っ暗な部屋に溶けて消えてゆく。


「俺、あんたのこと、すげぇ好きなんですよ、」


誰にも届かないヒトリゴト


「何処にも、行かないで、くださいよ」


闇だけが拾って吸い取って

それでも


「俺は、ダイスキなんだよ、Aっ…」


あふれだした

想いはもう、止まらない。


「あんたが、拾っでくれなきゃ、」


入れ物は、壊れる寸前で


「誰か、回収すんだよ、ばかやろ…っ」


声を上げて泣いてしまおうか

そう思った


♪+°*


思うだけに終った

虚ろな目でスマホを見ると

消したはずの

見慣れたアドレス


「…っ!?」


慌てて出る

取り落としそうになったスマホを持ち直し

そろそろと耳にあてた。


「…」


長くて短い沈黙が流れる。

断ち切ったのは

彼女だった。


「ゆめをみた」


「へ、?」


「ざかおくんが出てくる夢」


「はぁ、」


俺も、見ましたと告げるより早く


「わたしのコトバ、ちゃんと聞こえてた?」


「?!」


驚きで胸が縮まるのを感じた。


「聞こえて、ませんでした」


「そう」


そしてまた、沈黙が空気を支配する。


「え、教えてくれないんですか」


「また、夢の中であった時にね」


「はぁっ!?」


「おやすみ、ざかおくん」


「まっ、ちょ、せめてどこにいるかだけでも」


スマホの向こうに何度問いかけても

返事はなく

無機質な機械音だけが流れていた。

きっとかけなおしても

彼女が出ることはないだろう。


「ふ、はは、はははっ」



何故か

すごく

すっきりしている。

日常【だーま】のつもりだった→←☆《モトキ》散髪



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林檎 - 長文失礼しました。更新頑張ってください! (2016年7月27日 23時) (レス) id: 8eb33a0bf7 (このIDを非表示/違反報告)
林檎 - 面白かったです!余談ですが、風邪を引いたときにウィダーインゼリー飲む人ですか?ぺけたんの話を見ていたら、出てきたので・・・私はお粥があまり好きではないので、ずっとウィダー飲んでいますw (2016年7月27日 23時) (レス) id: 8eb33a0bf7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:HERMÈS | 作成日時:2016年6月26日 16時

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