▼第一章 お転婆姫の旅は終わらない ページ1
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「あーあ、暇だなぁ」
庭掃除を中断して箒の棒に手を乗せてその上に顎を乗せて空を仰ぐらうる。
そんならうるを通り越して家の藁の屋根を見れば気持ち良さそうに、スヤスヤと腕を枕にしてお昼寝中の佐久間さま。
そして私はお母さんが川で洗ってきた洗濯物を干している。
「今頃、康二さんたちなにやってんのかなー?」
「そうだねぇ、なにしてるかなぁ」
.
『 うわぁーん! 康二さんも一緒に行こうよー!!』
『 ううん、せやかてなぁ…』
康二さんと出会い、初めて宿に止まった大きめの町で佐久間さまの術を使い宿に泊まった翌朝、康二さんは此処でお別れだと言った。
元々旅芸人だった彼は、このまま旅を続けるようで。
『 なあんでぇっ、Aさまの家に行こうよー!!』
康二さんに懐いていたらうるは別れると知って、康二さんの腰にしがみついてわんわん泣いてる。
ふう、まだ子供だからなぁ。
寂しいのは皆同じだけど、それぞれの人生だから別れは付き物だと教えなければならない。
『 らうる、』
『 …ぐすっ、は、はい、』
らうるの前に屈んで、よしよしと頭を撫でる。
うるうるの双眸が私を見つめた。
『 これはね永遠の別れではないよ。生きていればいつかまた、必ず会えるから』
『 せやなぁ、』
康二さんもまた、らうるの頭をわしゃわしゃと撫でた。
『 俺がこの国を回りきったら、らうるに会いに行くわ! そん時は、よおさん土産持って行ってるからな!』
『 …すんっ、うっ、ほんとにほんと? ほんとに会いに来てくれんの?』
綺麗な涙を流すらうるの腕を解き、同じ目線になってギュッと抱き締める。
らうるが言っていた『 仲の良かった兄のような人が居なくなって寂しかった』と。
きっと康二さんをそのお兄さんと被らせていたのかもしれない。
面倒見が良いからなぁ。
『 ああ絶対や。俺は約束は守る男やで。らうる、それまで元気で過ごせや』
『 うん、わかったっ。俺、待ってるから!』
『 おお!』
大きく手を振り見送る私たち。
またいつか、必ず再会を誓って。
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ゆきんこ(プロフ) - あいちゅんさん» 長くなりましたので、2回にわけてのお返事失礼します。楽しみにしていただいてるようなのに、ご期待に添えずに申し訳ありません(>_<) 裏は載せられませんが、それ以外でも楽しんでもらえるように頑張ります! (12月13日 10時) (レス) id: 47adab0070 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - あいちゅんさん» あいちゅん様、大ファンなんて嬉しいお言葉に舞踊っております!ありがとうございます!初夜のお話についてですが、その他の裏のお話しに関しても書き始め当初から制限できるTwitterのみ掲載すると決めておりまして、本番行為はこちらには載せられません(汗) (12月13日 10時) (レス) id: 47adab0070 (このIDを非表示/違反報告)
あいちゅん(プロフ) - はじめまして。ゆきんこさんの作品大ファンの者です。お願いがあるのですが、私はTwitterのアカウントを持っていないので初夜のお話が楽しめません>_<privatterではなく普通の投稿にしていただけないでしょうか…? (12月13日 4時) (レス) id: bf15d374dc (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - 祐莉さん» 照くんや、残りの二人がどのように登場するかも楽しみに待っていてください(^^)最後まで面白かったと言ってもらえるように頑張ります! (12月3日 12時) (レス) id: 83fde2196b (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - 祐莉さん» そうですね。新章では、前回活躍してくれた二人は出てこないのですが、その代わりに前半に少し登場した翔太くんたちが出ます(笑)なのでまた違った雰囲気を楽しんでもらえたらいいんですが! (12月3日 12時) (レス) id: 83fde2196b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆきんこ | 作成日時:2020年12月1日 17時