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町を出て山道を歩いていると、もうすぐ亮平さんのお母さんが待つ犬屋が見える。
きっと彼もまた、
『 どうする、今日は泊まって行く?』
『 いいえ。まだ日も高いので行けるところまで行くよ』
『 そう』
亮平さんともここでお別れで、らうるはさっきの事も心配になったけど唇を噛んで必死に涙を堪えていた。
ほんの少しの間で成長するんだね。
が、我慢できない人が居た。
『 ……う、ううっ、あ、あべちゃぁぁぁんっ』
『 ……すっごい鼻水』
ずっと黙っていたかと思えば、亮平さんが佐久間さまに視線を移したその直後、佐久間さまの大きな瞳からボロボロと涙が流れでた。
『 涙腺破壊されてんな』
『 私もそれ思った』
こんなに泣き虫でしたっけ?
最初の頃とキャラ変わってませんか?
『 佐久間、またいつでもおいでよ。団子食わせてあげるから』
『 …う、うんっ。絶対だかんな!団子タダで!』
『 そこかよ』
佐久間さまは意外と亮平さんと波長が合うらしく、私と居る時意外は亮平さんにべったりだったもんね。
そんな彼とお別れで寂しいんだろうなって、私もつられて涙を浮かべていたけど、
里についた翌日、佐久間さまの腕の中の籠には大量の団子があったのを見て、あの時の感動をぶち壊したわねって睨んでやった。
この人鬼だから、距離とか関係なくスイスイじゃないか!
『 あ、殿様に会って行かなきゃ!』
亮平さんに見送られ、里へ向かって歩いていたら思い出した。
この別れ道をあっちへ行けば殿様の町がある。
『 行かなくていいでやんすよ〜』
そういう訳にはいかないでしょ?
だって婚約解消してもらわなきゃいけないじゃないかと訴えれば佐久間さまは、
『 らうると先に行ってて、佐久間が言ってくるから〜!』
『 え、ちょっ! 佐久間さまぁぁ!?』
とまあ、こんな感じで結局殿様に会うことなく里へ戻ったわけです。
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「平和だねぇ」
別れは寂しかったけど里に無事に戻って二月、最初は驚いていた父母も事情を説明し、居候が二人増えたけど若い男手が増えた事と金を手に入れた事で、前よりも裕福な暮らしをさせてもらってます。
「佐久間さま!いつまで寝てるんですか!起きて仕事しなきゃ飯抜き!」
「にゃにゃっ! それは駄目!」
「だったらすぐ稲刈り手伝ってきなさい!」
「はい!」
鬼の手も借りたいくらい、今年は良いお米ができてるんだからね!
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ゆきんこ(プロフ) - あいちゅんさん» 長くなりましたので、2回にわけてのお返事失礼します。楽しみにしていただいてるようなのに、ご期待に添えずに申し訳ありません(>_<) 裏は載せられませんが、それ以外でも楽しんでもらえるように頑張ります! (2020年12月13日 10時) (レス) id: 47adab0070 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - あいちゅんさん» あいちゅん様、大ファンなんて嬉しいお言葉に舞踊っております!ありがとうございます!初夜のお話についてですが、その他の裏のお話しに関しても書き始め当初から制限できるTwitterのみ掲載すると決めておりまして、本番行為はこちらには載せられません(汗) (2020年12月13日 10時) (レス) id: 47adab0070 (このIDを非表示/違反報告)
あいちゅん(プロフ) - はじめまして。ゆきんこさんの作品大ファンの者です。お願いがあるのですが、私はTwitterのアカウントを持っていないので初夜のお話が楽しめません>_<privatterではなく普通の投稿にしていただけないでしょうか…? (2020年12月13日 4時) (レス) id: bf15d374dc (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - 祐莉さん» 照くんや、残りの二人がどのように登場するかも楽しみに待っていてください(^^)最後まで面白かったと言ってもらえるように頑張ります! (2020年12月3日 12時) (レス) id: 83fde2196b (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - 祐莉さん» そうですね。新章では、前回活躍してくれた二人は出てこないのですが、その代わりに前半に少し登場した翔太くんたちが出ます(笑)なのでまた違った雰囲気を楽しんでもらえたらいいんですが! (2020年12月3日 12時) (レス) id: 83fde2196b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆきんこ | 作成日時:2020年12月1日 17時