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「ちょ、ちょっと待って」
俺は頭を抱えて
何度も瞬きをした。
亡くなった…って、
21才の時に?
それって、俺が最後にななこを食事に誘ったとき
もうななこは亡くなってたってことなんじゃ、
だから返信が来なかったのか?
当時、俺はななこに嫌われて
返信が来なかったとばかり思っていた。
けど改めて考えてみると、
嫌われるようなことは何もしてないし…
「A〜注文取り早くして!」
俺が頭の中で悶々としていると、
店のカウンターの方から店長とおぼしき人が声を上げた。
そういや、Aさん仕事中じゃん
勝手に引き留めて迷惑かけてしまったな。
「Aさん、仕事中なのに長く引き留めてごめんね、ななこさんのこと教えてくれてありがとう」
「いえいえ、私も姉の知り合いの方にお会いできて嬉しかったです、コーヒーすぐお持ちしますね、失礼します」
「うん、ありがとう」
彼女は俺に会釈すると
小走りでカウンターに戻った。
彼女が去って1人になった瞬間、
再びななこのことを思い出してしまう。
そっか、ななこはもういないんだ。
もう偶然でも会うことはないんだ。
そう思うと無性に苦しくて悲しくて、
心が締め付けられるような感じがした。
最近は仕事の忙しさからか、
ななこのことを思い出す機会がなかった。
でも、ななこのことずっと忘れられなかった期間もあって、俺って気持ち悪い奴だな、なんて思ってたけど今なんとなく分かった。
ずっとななこに片思いしてて、
まだそれが続いてたんだってこと。
それに、ずっと好きだったくせに
9年もの間、彼女が亡くなったことを知らなかった自分が情けなくて悔しくて頭がおかしくなりそうだった。
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作者名:ももの木 | 作成日時:2020年2月7日 18時