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「…え?」
店員は俺の顔を見るなり、戸惑った表情になった。その表情を見て、まさか人違い?なんて思いつつ俺は声をかけた。
「お前、ななこだろ…?え、違う、の?」
彼女の手首を掴む俺の手の力が
どんどん弱くなる。
…え、ななこじゃないの?
それとも久しぶりだから俺が誰かわからないのか?
いろんな考えを巡らせながら
9年前と何も変わってない容姿とピアスを見つめた。
俺には、ななこに間違いないという相当の確信があった。
「あの、すみません
私、ななこではないんですけど…」
「は、嘘、でしょ?
だって、ななこ、昔と何も変わってないし」
いつもなら何事にも未練なく、しつこさもない俺だけど、この時だけは何故か諦めがつかなかった。
けど、段々と冷静を取り戻したからなのか、
9年の年月が経っているにも関わらず
あまりにも彼女の容姿に変化がないことに気づいた。
ななこは俺と同級生だから
今、30才のはず。
けど、俺が引き留めてる子は
どこからどう見ても大学生だった。
俺とななこが出逢ったその時のままの姿。
「あ、ごめんなさい、急に引き留めて
知ってる子にそっくりだったからつい…
本当にすみません」
俺、見ず知らずの人に何やってんだろ、そんなことを思いながら彼女に謝り、手を離した。
すると、彼女は首を横に振った。
「いや違うんです、あの、私…
あなたの仰ってるななこ、の妹だと思います」
「…は?」
思ってもなかったその発言に
俺は彼女を何度も見返した。
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作者名:ももの木 | 作成日時:2020年2月7日 18時