【QK】五重奏の鍵 (ページ49)

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おまけページ49

【散り散りの流星群】
福良視点

仕事を終わらせプラネタリウムにむかった。たいした距離でもなかったのでタクシーに乗って移動した。けど渋滞していて自分で言った集合時間に間に合わなさそうだった。
「…すごい渋滞してますね…あそこで降りていいですか？」
「ああ、いいですよ。事故があったらしいですね」
運転手さんにそう言われ、なら降りて正解だと思った。もちろんその事故が伊沢のだったなんて知らない。
スマホの地図を片手に真っ直ぐ進んでいけば、事故現場が見えた。車が凹んでいる。そして人が倒れている。
その側に山本を見つけた。もし俺がその現場で山本を見つけなかったらスルーして、すごく後悔しただろう。話を聞けば、「伊沢さんが事故に遭った」とだけだった。
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河村視点

しまった。もう5時半になっている。どうしよう、急いでオフィスを出たいのだが車(タクシー)で行くか自転車でいくか徒歩でいくか。…いや決めてる暇もない。
そんなかんじで出かけようとしたときだ
「だから早めに出たらって言ったじゃないですか」
と、こうちゃんに言われた。
「じゃあこうちゃんは、なんでこの時間までいんの」
「タクシー待ってます」
衝撃が走る。じゃ、それに乗せてもらえばいいんじゃね？…みたいな。財布から3000円取り出しこうちゃんに見せた。
「こうちゃん。乗せろ」
そうして、半ば脅しで乗せてもらった。タクシーの中で世間話でもしていると、スマホが鳴った。福良からである。
『…河村？』
「ん。そうだ福良遅れるかもしんない」
もう48分である。
『あ、あの、さ。』
福良は息切れしている。あいつ走ったのか。徒歩でいくなんて迷わなかったのか？…迷ったから電話してんのか。そんなろくでもないこと考えていると。
『伊…沢がっ、事故で、あ、こうちゃんと、須貝さんにも伝えておいて！』
「…福良。『伊沢が事故に遭った』でいいね？」
『うん……切るね』
通話が切れた。隣にいたこうちゃんは信じられないという顔をしている。
「え、事故？伊沢さんが？」
信じられない。
たぶん2人とも、そう思ったはずだ。
次に福良からメールが来た。［病院に運ばれた。今日夜会議］とだけ。須貝さんに伝えなくては。
しかし電話のボタンを押す指も、伝える口も重かった。