匂いは時として、誰かとの思い出に深く結びつく ページ38
小さな頃の高杉は何だか悪役令嬢みたいな高飛車な野郎だった。
実際ボンボンだったし。綺麗な着物に包まれているのに、喧嘩三昧で至る所がほつれていたのを覚えている。
いつも誰かと喧嘩して、誰にも心を開かない。
特に銀時とは反りが合わず、よく喧嘩をしていて、止めに行ってはとばっちりをくらっていた。
あいつはきっと私のこと、口煩いやつと思っているに違いない。
けど私は、少し似てるな…と、寺子屋で本ではなく先生を眺める所を見て、そう思った。
だから高杉が世界ぶっこわずぜの道を選んだと聞いても驚かなかった。確かにあいつ昔っから厨二っぽかったのもあるけれど、奪われた左目に最後に映ったものを想像すれば、世界全てを憎む気持ちは痛いほど分かった。
高杉と私は、根本的な所が似ているのかもしれない。
1度固執したものは、死ぬまで手離したくないのだ。
「…どうやら高杉親衛隊の皆様にはよく思われてないみたいで」
「鬼兵隊だ。
春雨の件があるからな。奴らにいいように使われて不満が溜まってるだろうよ」
他人事みたいに言って大丈夫か?
そういえば前に佐々木が、春雨から逃げた幹部の情報と引替えに交渉したとか…
「春雨と組んだって聞いて嫌な予感はしてたけど…
案の定、パシリに使われてるじゃん」
「…くく、そーさなぁ
どうやら手を組む阿呆を間違えたらしい」
そう言ってふぅ、と紫煙を吐き出す。
その匂いが、歌舞伎町の思い出と重なった。
マヨネーズ型のライター
バズーカ掲げた栗頭
黒い隊服
馬鹿みたいなやり取り…
…何の心配してんだ。私は今や彼らの敵であり、地球の佐々木はあいつらの命すら狙わんとしている。
逃げた私には、何の資格もない。
「言う必要ある?」
「ないでさぁ。 ないけど……言って欲しかった」
「おい、聞いてんのかブス」
「あ゛?…ぶっ?!げほっ!何すんの!!」
高杉の声に我に返る。聞き逃せるわけない悪口にキレたら、煙を顔面にかけられた。
「くっさ!止めろ!!」
「くくく、間抜けヅラしてるからだ
下に恋人でも置いてきたかァ?」
「はぁ?恋人なんかいないわ臭杉
臭杉くんの臭いで気を失っただけだわ」
「ぶっ殺すぞ
そうかい。てっきり俺ァ、ヅラか銀時とデキてるかと思ったぜ」
「ぶっ殺すよ
人妻熟女好きヅラは論外として、銀時はもう…」
家族みたいなもんだし
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あいうえお - 更新待っていました!!ありがとうございます!!これからもお身体に気をつけて頑張ってください! (2023年3月21日 4時) (レス) @page1 id: 138a1201b5 (このIDを非表示/違反報告)
ロゼ(プロフ) - 久しぶりの更新嬉しいです❤️この作品とても大好きです、応援しております🫶🏻 (2023年2月1日 23時) (レス) id: a0125a0dc0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - うわあ、、めっちゃよかったです!!更新まってます (2022年8月10日 18時) (レス) @page33 id: f0d2a098e4 (このIDを非表示/違反報告)
rairis - 「出会い」のところにチセという名前があるのですが…… (2022年8月6日 2時) (レス) @page12 id: 7e61cd56ff (このIDを非表示/違反報告)
sou(プロフ) - ピピミさんの降谷さん作品が好きすぎて飛んできました!銀さんの作品でこんなにものめり込んだの初めてです!素敵な作品をありがとうございました!! (2022年3月29日 0時) (レス) @page33 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピミ | 作成日時:2018年9月22日 9時