【銀魂】口悪姉さん【坂田銀時】

だって大根役者ですから ページ47

銀魂は少し早口にそう言った後、今度は視線を逸らして



「…だからもう、会わねぇとか言うんじゃねぇ」


と、さっきの威勢はどうしたと言いたいほど小さな声で言った。

何かがグラグラと揺れている。
それを必死に保ちながら、こっちも蚊の鳴くような声で


「…分かった」

とだけ返した。
その時自分がどんな顔をしていたか分からないけど、


「Aって怒ってない方がマシな顔してるアル」

と神楽言った瞬間グーが出そうになったのを眼鏡の子に止められた。

まぁそれぐらい、自分は腑抜けた顔をしていたんだろう。







それからというもの、病院に行けば即入院、松葉杖生活が1週間ぐらい続いた。そよ姫にはお叱りは受けたものの、少し涙目な様子に散々迷惑をかけたんだなと罪悪感を感じる。


「もう…いなくなったらどうしようと思いました…」

「申し訳ございません。何分、これを買うのに少々手間どいまして…」

そう言って角が潰れた赤い箱を渡す。

「…もう、馬鹿ね」








姫は許してくれたとしても…まぁ、


「あなたはホウレンソウを知ってますか」


…この眼鏡エリート野郎には通用しない。
とりあえず例のドーナツ屋の箱を出したら

「こんなもので私が釣れ…信女さん？あなた何してるんです？」

「そこにドーナツがあったから」

「山みたいに言わないでください」

箱をも食わん勢いの信女に、はぁ、と頭を抑える佐々木は相変わらずの無表情。


「いいじゃないですか結果オーライだし」

「なんのための携帯ですか。あの連絡を期に、音信不通になり、その数日後に“岡田やっつけました。あと高杉は天人と組んでます”って口で言いますか普通。」

「すみませんエリートじゃないんで」

もうこれバンバン使っていこうと思う。


「…まぁ信女さんが賄賂を貰ってしまったので仕方ありません。しかし1つ妙な噂を聞きましてね。高杉と桂が争う中で、桂側に妙な連中が助っ人についていたとか…“妙なガキ2人連れたバカ強い白髪頭の侍”、見てませんか？」







「さぁ？自分のことで手がいっぱいだったので覚えてません」

自分ができる最大限の愛想笑いをして、佐々木に何か言われる前に局長室から出た。





___私がいなくなった後、佐々木が呆れたように

「…ホウレンソウだけじゃなく、嘘の指導もしなくてはいけませんね。下手すぎる」


と呟いたのは信女にしか聞こえなかった______

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