【HQ】仲良くなりたいです【北信介】

28 ページ28

.



中庭のベンチ

信介くんと私はそこでお弁当を広げる




北「うまそうやなぁ」

「そ、そう！？」




弁当箱ギチギチに詰めてある牛丼を見て【うまそう】と言う天使。

そんな事より信介くんのお弁当はすごくバランスが整っているし、おいしそうやし、何より…





「(弁当箱がトトロ…)」




そう。トトロの弁当箱なのである。
可愛いが過ぎるやろ、なんなんトトロて。
信介くんそれツッコんでええやつなん？




北「何や、弁当箱(これ)気になるん？」



…ハッ
あかん見過ぎた！！



「か、かわええなぁ思うて…」


北「せやろ。ばあちゃんが買うてきてん」


「おばあさまでしたか！！」





そうか、そうやったか。
いやそうだよな。
男子高校生が、しかも信介くんみたいなタイプの子がトトロの弁当箱率先して買わんよな。

てかこの子めちゃくちゃ良い子過ぎるやろ。
おばあちゃんも幸せやな、こんな孫私でもめちゃくちゃ愛でるわ。




「せやったら、おばあちゃんが弁当作ってるん？」


北「そうやで」


「ええなぁ、おばあちゃんのご飯ておいしいよなぁ」


北「Aは自分で作っとるん？」


「いや、おかんが作ってくれてる」




彼の弁当箱を見てから自分のを見ると
色気のかけらも無い、女子高生というより男子高校生のような弁当箱がそこにある。

いやおかん。女子なのに女子力負けてるで。
隣の現役男子高校生の方が女子力あるで。

よくよく考えたら弁当に牛丼て。
めちゃくちゃパンチ効いとるやん。好きやけど。




北「Aの弁当はスタミナつきそうやな」


「笑ったな！？」


北「せやって、なんか、…ギャップやん」


「どっちかと言うと信介くんのトトロの方がギャップやわ」








＿____








「「ごちそうさまでした」」





「美味しかった」



すっかり空になった弁当箱を眺める

「腹一杯になったら眠くなるなぁ」と信介くんは横で言った




「寝てもええんやで」


北「何されるかわからへんからやめとくわ」


「なぜバレた…」


北「はは、嘘やて」





中々距離が縮まったのでは、と思うくらい
私達はあの頃から遥かに仲良くなっている。

やっぱり行動はするべきやな、と考えるが
記憶を辿ると殆どがアランのお陰だった。
ありがとうアラン。持つべきものはアランやな。



北「ほな、飲み物でも買いにいこか」



彼はそう言って立ち上がり、私に手を差し出した

Yシャツの白とはまた別な透明感の白にドキリと心臓が跳ねた

29 北視点→←27

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す