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1セット目 ページ5

?「うお、可愛いお嬢さん。うちのバレー部になんか用か?」

「ひっ…!」


くるっと踵を返したAの目線の先にいたのは
身長の高いトサカ頭の男の人だった。


(うぉぉぉ……やっばいどうしよ。)



?「ん?」



その男はAの目を覗き込むように少し腰を下ろした。
田舎者でありイケメン体制のないAにとっては毒だった。




「お、お、顔面の暴力……」


?「顔面の暴力てww……ああ、そう俺は黒尾鉄朗。君は?」


「あ…今井Aです、」


「Aね、覚えとくよ。
……で、そのAはなんでここにいるのかな?」



黒尾鉄朗と名乗った男のコミュ力の高さに驚きながらも
ここに来た経緯を話す。


(いや、いきなり名前呼びはすごい。嬉しいけど。)


「…ほうほう。だから研磨の名札大事そうに握ってんのね?」

「はい、早めに返そうと思って」


バレー部の主将だという黒尾と話すのはやはり緊張する。
まだ会って間もないのにここまで話してくれる黒尾は親切なんだなと
Aながらに思った。というか部活は行かなくて大丈夫なのだろうか。



「あの孤爪くんは今…」

「おー、研磨な、すぐ呼んでくるよ」

「え、呼んでくる?!」

「いいじゃねえか、ちょっと話してみろよ!w」


(ど、どうしよう…。でも大丈夫、練習したし。自然に。自然に。)


体育館の方に走っていった黒尾を目で追いかけると
遅いぞー、という声と共に孤爪くんを呼ぶ声が聞こえた。


コツ、コツ、コツ


ゆっくりと近づいてくる足音がする。
静かな足音とは反対にAの心音はバクバクだった。


___ガラッ


体育館の扉が空いた。

孤爪くんと目が合った。




「あ、あの…」

『…課題忘れた人。』



Aは一瞬(課題…?)と考えてしまったが、朝の独り言のことだとすぐに気づいて
またすこし恥ずかしくなってしまった。

「孤爪くん、これ落としたみたいで…」


そう言って名札を手渡す。
そっぽを向いていた孤爪くんがこちらを向く。


(わ、綺麗な瞳…)



『…名札?……ありがとう。』


「…えっー…と、じゃあ私はこれで!じゃあね!」



少しの間続いた沈黙に耐えられず、Aはその場を去る。
小走りで廊下を駆けていくAを少しの間見つめていた孤爪だったが
バレー部の仲間に呼ばれて体育館へ戻る。

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作者名:百。 | 作成日時:2020年7月5日 18時

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