始まりの握手 ページ3
「今すぐ返した方が…いいのかなぁ、」
孤爪研磨と書かれた名札を睨みながら唸るAだが
今すぐでなくても大丈夫だろう、と後で返すことにした。
ゾロゾロと教室に入ってくるクラスメイト達。
「おはよう」と声をかけてくれる子もいて純粋に嬉しかった。
なんにせよ転校生という身分である為、完全に馴染みきれている訳では無いのだ。
一通り授業が終わった放課後、
Aは男子バレーボール部の体育館に向かっていた。
ホームルーム後、すぐに名札を返そうとしたが
目が合った途端すぐに逃げられてしまった。
(ものすっごい警戒されてんな…私。どうしよ。)
そんなことをぼやいたAは少し自嘲気味に空を仰いだ。
「こづめけんま、け…んま、研磨…。孤爪くん。研磨くん。」
コツコツと自分の足音が響く誰もいない廊下で一人呟くA。
今度こそ自然に、と意気込んたAは名札の持ち主に
どうやって話しかけようか悩んでいた。
(いきなり名前呼びはちょっときついよね…)
「うーん、どうしよ!笑」
初対面の時の印象があまり良くなさげな感じだったというのも
ある為、Aはどう彼に誤解されないか考える。
でもひとつ気になることがあった。
(あれ、私なんで孤爪くんのことこんなに気にしてるんだろ。)
確かにAは初対面の印象を大切にしたいと思う性格の人ではあるが
ここまで気にしているとなると話は別だ。
授業中もずっと気になってたし、昼休みの時も自然と目で追っていた。
……
(なんなんだろう、この気持ち、。)
Aは少し心に蟠りを残したまま体育館へと向かう足を早める。
142人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:百。 | 作成日時:2020年7月5日 18時