Only Love Part 35

近況 ページ17

「日本では映画にしか使わないけど、ロードショーっていうのは、新製品とか新作なんかの新しい物を大衆に広めるっていう意味の言葉よ。要するに地方や各地で行う展示や発表、説明会のことね」

「さすが、恵美。広告関係の言葉に強い！」

雄介が感心しまくっていた。

「なんだ、雄介。フォトグラファーなのに業界用語知らなかったの？」

「写真業界では使わないよ。でも、ショーケースは知ってる。新しいアルバムとか新人歌手を関係者に知らせるためにやる特別公演のことだろう？日本では業界向けにやることがほとんどだから、あまり一般には知られてない言葉だって。隅さんから聞いた」

「隅さんって、誰？」

今度は恵美が訊く番だった。

「東方神起のマネージャーさんだよ」

とたんに、チャンミンの言葉を思い出した。

(僕、あの人、キライなんですよ…)

今でも嫌いなのかどうかはわからないけれど。

「最近、会うことが多いな。なんか彼女、俺のことが好きみたいで、モーションかけてくるんだ」

「へえ。で、雄介はどうなの？」

「まだどっちでもない」

雄介はそっけなく言って、ビールを口に運んだ。

「恵美、元カレの新しい恋、気になるよねえ」

「別に」

恵美は私の煽りには乗って来ない。

「それより、Aの近況はどうなの？」

私が答えようとすると、雄介がからかうように言う。

「どうせ相変わらずジェジュンとラブラブなんだろ？あ〜 ほんっとにゴチソウサマ」

「ごめんね、ラブラブで。でも、私は彼と結婚はできないの。これってけっこう不幸でしょー？」

私は軽く言ったつもりだったのだけれど、聞いたとたん、ふたりは私を見て固まってしまった。

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