＊完結＊【BL松】君の隣にいる僕は、君の見る世界では生きられない【カラ←一】

最終章. ページ21

それから数日後、カラ松と十四松がこの家を出るときに僕はカラ松の言った「最後」の意味を知ることとなった。

どうやら二人は、ここから少し離れたところへ住むらしい。

トド松は、そのことについて諦めたように「仕方ないね」と笑ったが目はやはり獣の目をしていた。


僕は、二人から「家を出て行く」そう告げられたとき意外にもあっさりと受け止められた。

カラ松が、幸せそうな顔をしていたからだろうか。

僕は、最初からこの恋を実らせる気なんてさらさらなかった。

だって、僕はカラ松の幸せしか願っていないから。

それが僕じゃなくていい。

それは僕じゃない方がいい。


カラ松が順番に別れの言葉を伝えるとき最後だったのは僕だった。

カラ松は、やはり眉を少し下げて僕の様子を伺うようにしながら「今までありがとうな」と一言だけ言った。

僕は、声が震えて今にも泣き叫んでしまいそうなくらい苦しくなった胸を押さえる。

____ダメじゃん、ちゃんと背中を押すって決めたんだから

僕は、精一杯微笑んで顔を上げた。

「ちゃんと、誰よりも幸せにしてあげなよ」

カラ松は、少し悲しそうに笑ったがそれは気のせいだろうか。

「ありがとう」。もう一度、今度はちゃんと微笑んで返すと、カラ松は十四松の元へ駆けて行った。

僕は、見えなくなるまで、見えなくなってもその背中を見つめていた。


「誰よりも、幸せにしてあげて」

誰よりも、幸せに____

僕を幸せに、して下さい。

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