お兄ちゃんと妹【白布賢二郎】 (ページ29)

今日:60 hit、昨日:132 hit、合計:188,669 hit

お兄ちゃんと足音ページ29

　
　
　
　
窓に落書きをしていた友達は

1番近くで雷の音と光を見たせいか

怖がってしゃがみこんでいる

私たちの教室からは職員室が見えるので

先生たちが懐中電灯をもって

数人がかりで見回りに来ているのが見えて

とりあえず安心した

あともう少しすれば事務の先生が

学校全体の電気をつけてくれるはずだ

大丈夫だと自分に言い聞かせ

変に動いて怪我する人が出ないように呼びかけつつ

自分も椅子に捕まって固まっていた

男子の一部は雷に興奮して

窓の外を見ようとか言ってるけど

女子が猛反対して引き止めている

いつもの休憩時間の何倍もうるさい教室は

廊下から歩いてくるとある「音」をかき消していた

「……なぁ、なんかペタペタって音しねぇ？」

「ちょ、怖いこと言わないでよ。どうせ先生たちが歩く音でしょ」

「…だったらなんで光が漏れてねぇんだよ。懐中電灯持ってるはずだろ！？」

「や、やめてよ！変に怖くなってきたじゃんか！」

誰かが叫んだ「音」という単語のせいで

みんなが廊下に耳を澄ました

すると確かに聞こえた

ぺたぺたと

誰かがこちらに歩いてくる足音が

不気味すぎて泣いている女子が出ているが

私は怖すぎるとその場に固まるタイプなので

声も出せずに椅子に捕まることしか出来なかった

廊下の足音は次第に大きくなり

最悪なことに、私たちの教室の前で止まった

「…く、くる…っ！」

「むりむりむりこわい！！」

あぁ、やっぱりお化けなんて嫌いだと強く思った時

見慣れたシルエットが教室のドアを開けた

「……え？」

「あーーー！！」
　
　
　
　
　