お兄ちゃんと妹 4 【白布賢二郎】

お兄ちゃんと写真 ページ12

　
　
　
　
鬱陶しい湿気が増える梅雨の6月




ここ白鳥沢学園1年4組では




大きな問題が発生していた






｢…だから、知らないって｣




｢嘘つかないで！！じゃあこの写真どう説明すんのよ！！｣




｢何度も言ってるじゃん、何かの間違いだって｣




｢直接見たって人もいるって聞いた！！｣




｢知らないよそんなの…｣






私の目の前には




怒りで顔を真っ赤に染めたクラスメイトと




私そっくりな後ろ姿の女の人が




同じくクラスメイトの男の子と仲良さげに腕を組んで




そういうホテルに入っていく写真が数枚




写真に写っているのはもちろん私じゃないし




こんな所に行ったことも行こうと思ったこともない




けれどどういう訳か、写真の中の私のそっくりさんは




大きく肩を出しながら男に寄りかかっていた






｢どうみたってこれ白布さんじゃない！！｣




｢だから知らないってば…｣






一方的に責められ続けてはや数分




ほかのクラスメイトたちは




心配と興味の視線を向けている




呑気で羨ましい限りだった






｢こんな所行ったことないしあなたの彼氏とは1ミリも仲良くない｣




｢写真って証拠が残ってるのにまだ言い訳するの！？｣




｢…………はぁ｣






男好き

略奪女

尻軽女




中学の頃に散々言われた言葉




正直高校に入ったら無くなると思ってた




けどまだこんな幼稚なことする人がいるなんて




こんなの知らない、違うと否定し続けても




目の前の写真の説明は私にもできない




我武者羅に否定しても見苦しいだけなのは分かってる




こういう時ってどうするのが正解なのだろう




写真に一緒に写ってるはずのクラスメイトは




運悪く家の用事で今週いっぱいはお休みで




これは私たちじゃないと否定して貰えない




諦めてごめんと謝った方がマシだろうか？




そう考えて一瞬で否定する




どうせ謝ったら認めたことにされて話が長引くだけだろう




だったらこのまま先生が来るまで無言を貫くか？




女ってつくづくめんどくさい生き物だと心から思う




相手の女子が怒り叫ぶのを




うるさいなぁなんて他人事のように考えながら




時間が過ぎるのを待った









｢……………………なんなの｣







教室の後ろで小さく呟かれた声は




責められている私には聞こえなかった




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お話前のと少し変えました
　
　
　
　
　

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