悪役に選ばれし華麗なる華 (ページ8)

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7話ページ8

ゆうside

目が覚めたら、訳の分からない場所にいた

喋る狸カラスの面をつけた謎の男謎の火事

身に覚えのない服を着て新入生として迎えられた

勝手に連れてこられて入学なんていい迷惑だった

「汝の魂の形は……分からぬ」

怖い顔が描かれている謎の鏡の前に立たされ
名前を言っただけなのに魂だの形だのと言い出した

しかもその答えにカラスの男はかなり驚いている

いや、カラスの男だけでは無く他の生徒たちも
随分と驚いているようだった

どの寮にもら相応しくないだとか
魔力のない人間だとか
迎えに行くのはありえないだとか…

頭が痛くなるほど訳が分からなかった

それを聞いた喋る狸は口から炎を吹いて火事を起こすし

狸が捕まっても自体はほとんど変わらなかった

＿＿あの人が来るまでは

｢一体いつからこの学園は入学式に
使い魔の同伴が認められたんですか？」

「そんなの認めているわけが……って、ん？」

「式典用の飾り、真っ黒焦げでしたよ？学園長」

「ス、スカーレットくん！？
貴方一体どこに行ってたんですか！
この前代未聞の事態が幾つも起きているというのに！」

オレンジ色の綺麗な髪

光を放っているかのようにキラキラした黄色い瞳

シミひとつない真っ白な肌

心配になるほどほっそりとした体

『…キレイな人…』

気が付けば心の声が漏れていた

それほどまでに綺麗な人だった

レッドカーペットを歩いているかのように
ゆっくりこちらに向かう彼女は
黄色いペンを使って部屋に残っていた
全ての炎を消していた

この世界の状況が呑み込めない自分にも分かった

この人は、きっととても凄い人なのだと

だって視界に捉えていない後ろの炎すら綺麗に消している

無駄がないのかどこか余裕な表情にも見える

そんな人が凄くないわけがない

見とれていたせいで女の人は
狸の元から俺の方へと歩いてきていた事に
気が付かなかった

誰しもが見とれる微笑みで彼女は俺に答いた

「貴方は？」

『へ？』

「キミ、名前は？」

髪が長く、首を傾げたと同時にサラリと流れる

今思えば、この時かもしれない

『ゆ、ゆう……です…』

「そっか。よろしくね、ゆうくん。」

＿＿貴方という人に恋に落ちたのは
　
　
　
　
　