【◇】大人になったら (ページ3)

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「えっ？一也に会ったの？」

お酒も飲んで少し酔ってきたところで一也の話を出した

「エレベーター乗るときにね。女とご飯でも行くのかな～」

「でもさ一也も同じこと思ったんじゃない？」

「え？」

「Aが男と飯でも行くんじゃないかって。そんな綺麗な格好してるんだしさ！」

2年経ってさすがに一也なんて忘れたと思ったのに

やっぱりいざ会ってしまうと彼の表情とか、後ろ姿が忘れられない

「一也かっこよかったなあ…」

そう考えると2年前に別れたときのことを思い出して、もっとこうすればよかったなとか考えてしまう

今更タラレバしてもね

もうあの時には戻れないから

一気に気分が落ち込んでワインの入ったグラスを片手で揺らしながらグラスの中身を見つめる

「A」

ふと鳴に名前を呼ばれ顔を上げる

「もう一也なんて忘れてそろそろ俺にしてよ」

突然鳴に握られた左手

なんでだろう

人って気分が落ち込んでて前に進めないで弱まってる時に心にすき込んで来ようとする人を拒否できないのかもしれない

「…うん」

あたしは自然と鳴を必要としていた