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81:帰り道 ページ42

快「ホント、あいつどこ行ったんだ…」


青「快斗…大丈夫?」



放課後。いつも通りの帰り道を歩く






いや、いつも通りではない



いつもとなりにいるはずのあいつが、今はいない




快「あぁ…」


青「…」


学校では元気に見せている青子も、やっぱりいなくなった事に不安と、寂しさを隠せないらしかった









俺の前から希穂が姿を消して、もう一ヶ月が過ぎた









何回も希穂に連絡したが、全て無視



三度ほど希穂の家に行ってみたが、呼び鈴にも応えず、貰った合鍵で入ってみるものの人がいたような跡さえない



青子や寺井ちゃん、更には白馬までもが行方を追ったが、誰一人として見つけられなかった






学校の方にはしばらく探偵業で休学という連絡が入っていたらしい


警察の方にもそのたぐいの連絡が入っていた






それでも俺の前に絶対に姿を現さなかった


だいたいあいつの仕事柄、姿を隠そうとすれば誰にも見つけられないのかもしれない




頭の中に鮮明に残っているあの綺麗な髪も、真っ直ぐな瞳、透き通るような声も、柔らかな笑みも



全て、懐かしいものへと姿を変えていった





もう一度あの姿が見られたら、あの声が聞けたら、



________________あの笑顔に出会えたら




快「……希穂」



伝わるはずも、聞こえるはずもない声で懐かしい名を呼ぶ



その余韻が消えた時、ふと思った








なんの慰めになるかもわからないが________帰りに寄ってみよう






俺を悲しみから引き上げてくれた、あの場所に



俺は椅子から腰を上げ、肖像画を押した








仕事も無事終わり、警察を撒いたところであのビルに向かう


予告場所から随分と離れたところだった



その為か、元々人通りの多いところではなかったあのビルの近くも閑散としている


俺は頭の中の記憶を辿り、複雑な路を進んでいく



______________あぁ、確かここだったな



俺は視界に見覚えのあるビルを発見して高度を下ろす

それにしても……



俺は降りたってぐるっと周囲を見渡した



変わってねぇな、ここも



それはそうだ



そんな二ヶ月くらいで変わるはずもない



はぁ、とため息をついて柵にもたれかかる



否応無しに希穂の顔が浮かんだ



今は何をしているんだろうか



俺の事を思い出して……くれているわけはないよな



かと言ってあの言い方だと誰かといるとは思えない

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極・吹雪姫 - がんばれ、、、です (2019年5月1日 15時) (レス) id: c4455a25af (このIDを非表示/違反報告)
いえーーー - 夢主と快斗でポッキーゲーム!あ、でも夢主ポッキーゲーム知ってるかな? (2019年5月1日 15時) (レス) id: c4455a25af (このIDを非表示/違反報告)
木城時雨(プロフ) - 道化師ロキさん» ありがとうございます!続編もう少しで出すのでよろしくお願いします! (2017年8月24日 11時) (レス) id: f8eb10b8b4 (このIDを非表示/違反報告)
道化師ロキ - とっても面白いです!応援しています!頑張ってください!! (2017年8月24日 10時) (レス) id: 091673db49 (このIDを非表示/違反報告)
木城時雨(プロフ) - 藤堂ナオミさん» 沢山コメントありがとうございます!頑張ります!! (2017年8月17日 20時) (レス) id: f8eb10b8b4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:木城 時雨 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年6月9日 21時

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