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『...そうです...
 丁度この病室での入院生活、10年ですかね...
 すごくないですか?10周年..!』

なんてAは、俺からの問いに明るく答える。


「10年..?
 ...そんなに治らねぇ病気なのかよ」


Aは、俺の隣の開いているベッドに腰かけた。


『まぁ、そんな感じです
 10年前ここに来ると同時に、
 帰る場所も失くしているので...
 これが私の辿る人生なんだなぁって』

Aは微笑みながらも、
顔が見えなくなるくらいに俯く。


「....じゃあその人生に、
 昨日から、予定外だった俺が加わった」


『..はい?』


「俺の人生にも、アンタが加わった
 ...それで俺たちの人生は、何か変わるか?」


自分でも何故急に、こんな意味不明な質問を、
投げかけたのか分からなかった。


『....どうでしょうか...』

それでもAは答えてくれる。


「.....」


『.....人生って何でしょう...
 機械に繋がれてないと、呼吸もできない人を、
 人と呼んでいいのでしょうか...
 生きたいと思ってもいない人が、
 孤独で生き続ける意味は何でしょうか...』


Aは、心の奥底の重い疑念を、
ぶつけてきたかのようだった。


勿論詳しいことは知り得ないが、
Aが分厚いものを1人、抱えていることは分かる。



「.....アンタの__________」


『ごめんなさいっ..!今のは忘れてください..!
 十四郎さんが来てから私、妙に落ち着いちゃって...』


俺の言葉をすぐに遮ったA。



________パシっ...

ベッドから立ち上がり、俺は、
戻ろうとするAの、細い手首を掴む。


ちょっとでも力強めたら、
マジで折れちまいそうだな...


「...人生?生きる意味?
 ...アンタが何を思って、何を抱えてんのか知らねぇが、
 そんな意味の無ぇ、難しいこと考えてる暇あんなら、
 病気治す努力か、自由になった自分でも想像したらどうだ」


中途半端に何も話してくれないAに、
かけてやれる言葉が見つからない自分に、
腹立たしさを覚えたのか、
若干、強めの口調になってしまう。


『....そうですね...』

そんな俺の言葉に、Aは短く返事をした。

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設定タグ:銀魂 , 土方十四郎   
作品ジャンル:アニメ
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リヴ - ていさん» 私も銀魂の小説書いてます!ていさんほど上手くないですが、ぜひちらっと見ていただけたら嬉しいです!! (2021年1月5日 11時) (レス) id: 3a05cdac75 (このIDを非表示/違反報告)
てい(プロフ) - リヴさん» 勿体ない程のお褒めの言葉ありがとうございます(TT)完結まで暖かく見守ってくださると嬉しいです!! (2021年1月5日 11時) (レス) id: 51fbc336c0 (このIDを非表示/違反報告)
リヴ - 語彙力が素晴らしいです!ていさんの作品色々読ませていただいたんですが、どれも面白くて…!尊敬してます!更新頑張ってください! (2021年1月5日 10時) (レス) id: 3a05cdac75 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:てい | 作成日時:2020年12月20日 6時

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