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「......」




この病院までどうやって来たか、覚えていない。



今俺の目の前にいるのは、本当にあいつか?





病院に向かおうと、屯所を出た瞬間、
病院から連絡が来て、それで......



ダメだ、頭が回らねぇ。





俺は小さく震える手で、目の前で横たわっている、
Aの顔にかけられている布を、ゆっくり取る。




血の気を全く感じない肌。


何度呼び掛けても開かない目。




「....置いてくなよ......」



俺は片手をそっと、Aの頬に添えた。



「...待ってるって...
 言ったじゃねぇか.....」



もう片方の手を、Aの指と絡ませた。



「....冷てぇ......」



色を失ったAの唇に、自分の唇を重ねた。



「...冷てぇよ......」






一日分の保証も無かったAの命。



理解していたはずだった。






Aの頬に、一滴の雫が落ちる。








俺は、まだ気持ちの整理がつかないまま、
霊安室を出た。


すると、Aの担当の看護婦が駆け寄ってくる。



〈土方さん、ごめんなさいね...
 亡くなってから連絡することになっちゃって...〉

看護婦は、申し訳なさそうに俯いた。


「あ、いや.....」

こんな時、まず何を言えばいいのか分からず、
言葉が出てこない。


〈..これを渡したくて....〉

看護婦は、俺に白い封筒を手渡す。


「...?」


〈Aちゃんからの手紙よ...
 .....今はツラいと思うけど、惚れた女の為にも、
 しゃんと前向きなさいね..!〉


そう言い残して去って行った、
看護婦の目も赤く、少し腫れていた。


俺はその背中に向かって、深く頭を下げる。




そしてAからの手紙を手に、屋上に向かった。

17〜完〜→←15



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設定タグ:銀魂 , 土方十四郎   
作品ジャンル:アニメ
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リヴ - ていさん» 私も銀魂の小説書いてます!ていさんほど上手くないですが、ぜひちらっと見ていただけたら嬉しいです!! (2021年1月5日 11時) (レス) id: 3a05cdac75 (このIDを非表示/違反報告)
てい(プロフ) - リヴさん» 勿体ない程のお褒めの言葉ありがとうございます(TT)完結まで暖かく見守ってくださると嬉しいです!! (2021年1月5日 11時) (レス) id: 51fbc336c0 (このIDを非表示/違反報告)
リヴ - 語彙力が素晴らしいです!ていさんの作品色々読ませていただいたんですが、どれも面白くて…!尊敬してます!更新頑張ってください! (2021年1月5日 10時) (レス) id: 3a05cdac75 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:てい | 作成日時:2020年12月20日 6時

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