私は稀有な異能の子 ＊2＊【文スト】太宰治

私 ページ12

〜その頃、燗華凌教では〜



麗しき召し物に身を包んだ仮神と
呼ばれる彼女は、礼拝堂と思わしき
場所でブツブツと何かを唱えていた。


｢………………｣

燗1｢日本で会った時とは全く違う
雰囲気をなさっていル……｣

燗2｢受継の儀が終われバ、本物の神と
なられるのですかラ……｣

燗3｢やはり当たっておりましたナ…
そういえバ、他地域にいる我らの同士も
ここに来られますよナ？｣

燗2｢我ら燗華凌教の信者も今や500人…
さらに増やすためにモ、A様には
精進して頂かねばならぬナ……｣


信者たちがコソコソと話していると、
Aがすくっと立ち上がった。


｢おい、そこの3人、受継の儀はまだ
行わぬのか｣

燗1｢今、我ら燗華凌教の信者共が他地域に
広がっております故、後2日ほど
お待ちくださイ……｣

｢ふん、気に食わぬ……
我は自室へと戻る、立ち入らぬように｣


彼女は冷酷な目付きで睨む。


燗1｢滅相もありませン！｣


彼女はヒラと長い裾を翻し、
自室のある廊下へと
靴音を響かせながら歩いていった。


燗3｢まるで人が変わったようダ……｣




……






〜Aside〜



我が自室に戻ると、
激しい頭痛が襲ってきた。


｢くっ、なんだこれは……｣


頭が割れるように痛い……！

決して人前では見せない
苦しい表情を浮かべながら
なんとか立ち上がる。

2,3時間に1回は頭が
このように痛くなるな……

受継の儀式までに
なんとかして治さねば…


"ダメ…！そんな儀式に身を任せちゃ…！"


｢誰だ！？｣


今声が聞こえたような……
それに、そんな儀式だと？

我の神となる儀式をそんなもの
呼ばわりとは、救いようの無いヤツめ。


｢あと2日後……もう少しで……我が……｣


夕焼けの眩しさに目を細めながら
我は再び部屋をあとにするのだった。



……



夕餉を食べ終わり、明日は儀式の予行
ということなので早めに
床に着くことになった。


｢全く……相変わらず治らんのだなこの頭痛は…｣


神となるべき者の身体が
こんなに軟弱であって良いものか…


｢いくら漢方を飲んでも治らぬし……｣



｢今日はもう寝よう｣


ロウソクの灯火を手で煽り消し、
寝床に入った。



……



"私は儀式なんて受けない！！"



"私は神でもないし、燗華凌教なんて
無くなってしまえ！！"



"目を覚ましてよ！ねぇ、私！"



｢煩い！黙れ！！！！｣



目を覚ますともう朝だった。
とても短く感じたな……

誰だ、我に歯向かうあの声の主は……

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