私は稀有な異能の子 ＊2＊【文スト】太宰治

儀式2 ページ14

ポンッという栓の抜けた音が
礼拝堂に響き渡る。

男は緊張の面持ちで、そっと
手を器の中へ入れた。

Aは赤いヴェールを上げる。


男｢失礼しまス｣

｢構わん｣


男が人差し指と中指で器の中に
入っていた赤黒い液体をすくった。

この赤黒い液体とは、聖杯ではない。
純粋な、"穢れなき人の血"である。

そしてその手でゆっくりとAの
顔に触れ、頬、顎、額と丁寧に
紋章を書いてゆく。

文字ではなく、模様のような紋章、
これが燗華凌教の紋章であるのだ。

最後に鼻筋に線を入れると、
男は立ち上がり、礼をして去っていった。

Aは昨日の予行を思い出しながら
くるりと後ろを向き、
銅像に向かって手の平を胸の前で合わせ、
祈りを捧げ始める。


｢感謝上帝。上帝看著我的事蹟……｣
(神に感謝します。神は私の行いを
見ていて……)


祈りを捧げ始めたその時だった。


ｺﾞﾝｺﾞﾝ


と、重たい礼拝堂の扉が
ノックされたのである。

神聖な儀式の最中に無礼を働くのは
何者かと皆が訝(ｲﾌﾞｶ)しげな表情を浮かべる。


｢全く……何者だ｣

男｢見張りの者はどうしタ！！
扉の前と外の門に5人ずつ立たせていた
はずだゾ！！！確認しロ！｣

お｢早く扉を開けて追っ払っておしまい！｣


1番扉に近い者が恐る恐る
扉を開けようとする。

そして、手をかけた瞬間、
あろうことか、扉が粉々に
切り裂かれたのである。


全｢！！？｣

？｢これはこれは凄い大所帯だ｣


扉の向こうから出てきたのは
10人ほどの人。

皆、この場に似つかわしくない
格好をしている。


？｢なぜ僕(ﾔﾂｶﾞﾚ)まで……｣

？｢うるさい、僕だってお前と共闘
なんてまっぴらだ｣

？｢敦、黙って。
今はそんなこと言っている場合じゃない｣

？｢きょ、鏡花ちゃん……｣


会場中にどよめきが起こる。


燗｢おイ！どういう事ダ！｣

燗｢A様がお力をお使いになれば
きっと天も微笑んで下さル……！｣

すると白装束の1000人は一斉に
Aを見た。







〜太宰side〜



---数刻前



太｢ここが、その燗華凌御殿か｣

敦｢大きいですね……｣

谷｢ナオミによるともう儀式は
始まっていてもおかしくないとの
情報ですが……｣

中｢ッたく、誰のお陰だと思ってンだ｣

太｢ねぇ、中也、それには感謝してるんだけど
なんで他のポートマフィアも
着いてきてるんだい…｣

中｢俺だけ敵陣地に乗り込むのは
少々気が引けたからな｣

太｢まぁ、人数は多い方がいいかもね……｣

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