紅一点、ちょっとクールでかなり沼。３【Snow Man】

魔法を解いて（×緑） ページ10

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阿部ちゃんと2人きりの楽屋。

ここから空き、1時間。



座敷スタイルな空間の中、1人机で読書をしている阿部ちゃんに、何となく後ろから近付いた。

少し丸めた背中を前にして、抱きしめるように腕を回して、

お腹も胸もほっぺたも、余すところなくぎゅーっとくっつく。










阿「…」

「…」










こんな風にべったりしても、特に反応せず本への集中を切らさない阿部ちゃん。

それが物凄く気楽で心地良い。


何の理由も必要とせず、考えすぎなくていいから。










「…阿部ちゃんあったかい」

阿「ふ…笑、俺あったかい？」










耳をつけた背中から、直接響く声。


片手はきっと本を押さえたまま、もう片方の手がお腹に巻きついた私の手に重ねられる。

そのまま、指先をまとめてにぎにぎされた。










阿「Aちゃんはつめたいね？」

「…末端冷え性ですか？」

阿「知りません」

「んふ、笑」

阿「ちゃんとあったかくしてください」










ぽんぽん、とあやすように手の甲に触れたら、再び本の世界へ。



私も何かしようと、くっつき体勢のままスマホを出した。

暇潰しに、何となく久しく使っていなかったアプリを起動したら…

久しぶりすぎて、再ログインを求められる。


登録したメールアドレスとパスワード4桁を入力…って、

え、パスワード？4桁…何だっけ？


これかな、と思って打ち込んでも違う。

入力し直しても、やっぱり違う。

何度試しても、全然ダメ。


んー…


ここまで来ると思い出さないのも気持ち悪い。

ログインしたその先よりも、ログインそのものが目的になってきた。










「あべちゃんー」

阿「んー」

「ごめんね読書してるのに」

阿「いいよー全然、どうした？」

「ごめん、あのね？これ…パスワードが分からなくなっちまいまして」

阿「なっちまいまして？」

「………解けますか？」

阿「えっ…？」










後ろから手を回してスマホを見せると、戸惑いの声が漏れる。










阿「…いやいや流石に無理よ？そんなクイズ感覚ではいけないよ？」

「ジャニーズ初の院卒アイドル･あべちゃん」

阿「大学院で他人のパスワードの解除方法習得してないのよ」

「理系なのに…？」

阿「うーん…まぁ、確かにどちらかと言えば理系の分野ではあるのかな…？って違う違う、」










そういう問題じゃないから、ってツッコむあべちゃんの言い方。

コロコロしてて、ふわふわしてる。





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