吐露 (青) ページ40
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お風呂上がり、
部屋に一人で座り込んで、ぼーっと考えていた。
新しく買ったボディクリームを開けて
昨日までとは違う香りに新鮮さを感じつつ、
とても答えが出そうにない迷いを広げていく。
ショートパンツから出た脚、下の方から
白いクリームがするする浸透していくのを眺めながら
なんとなく溜息をついて。
次は太ももに塗ろうとした時、ガチャッとドアが開いた。
安「…あ、なんかええ匂いする、」
「あ…、匂いキツいですか…？」
安「んーん！そんなことない、めっちゃ好きな香り」
同じくお風呂から上がってきた章大君が、
鼻から息を吸い直して笑顔なりながら入室。
それなら良かった。
安「ボディクリーム？」
「そうです、使ってたやつ切れちゃったんで
新しいのにしてみました」
安「へぇーええなぁこの匂い」
傍に置いてあるパッケージを指すと、隣に座ってきて手に取る。
さっぱりしててほんのり甘い果物の香り。
美味しそうだから選んじゃったけど、笑
章大君のツボに刺さったようで何よりです。
実際に自分の手の上に出して、両手に広げながら
気分良さげにくんくん嗅いでる。
その様子を見てふふっと笑って、
自分もさっき手に出した分を馴染ませながら
左の太ももに塗ってると、
「…っひゃう、」
安「あはっ、笑
手伝ってあげるー」
「ちょっ…ん、結構で、す…！」
安「ほんまくすぐったがり、」
右の太ももに章大君の手が回ってきた。
両手でつけたクリームを塗り広げて、
楽しそうに肌の上を行ったり来たり、滑らせる。
その手つきが絶妙にふわふわしてて、
くすぐったくてたまらない。
「だって…わざとでしょそれ、」
安「んー？」
「や…っ、それ！触り方…っ！」
安「普通に塗ってあげてるだけやけど？」
平然とそう笑って、
くすぐったさで息が込み上げてくる私の顔に
自分の顔を遠慮なく近付けてくる。
安「…そーいえば、さっきの何やってん？」
「へ…っ、さっきの、って…？」
安「ほら、目合ったのに何も無いって」
「あ…あれは、ほんとに何でも……んん、！」
安「嘘やろ？」
すー…っと膝の方から指先がゆっくり上がってくる。
もう耐えられない私に、章大君は至近距離で
首を傾げるようにして顔を覗き込んだ。
安「素直に言うてみ？」
「…うぅ…」
…逃げられない。
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作者名：黒葡萄
| 作成日時：2022年5月5日 8時
