7人の先輩と塩対応ちゃん 18！【 eight 】 (ページ29)

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冷静ページ29

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五月から休養期間に入って、私は決まった通り

バンド活動からは一旦離脱していた。

当然、他の先輩達がライブに出たり練習したりしている間も

参加せずに、その分他のことに時間を当てていた。

一番は、就職活動。

休養が決まってから、

自分が本当に就職して働いていくという視点で考え直して

遅いながらも本腰を入れて今度こそ集中してやっていたけれど。

それでも、どこか上手くいかないままだった。

それは客観的な結果というよりも、気持ちの問題。

私は本当にこれで良いのか…

どこの会社を見つけても調べても受けてみても、

どうしても自分が働いているイメージまで持っていけない。

今まで「やりたいこと」といえばバンドの事しか考えてなくて、

じゃあそれ以外でどう生きるかをいざ考えた時に、

どれも微妙にしっくりこない。

…いや、これまでに散々イメージしていたせいで、

「これから先もバンドを続けていく自分」が

しっくりきすぎていたのかもしれないと思った。

バンドから離れて、歌のことも考えないようになってから

少し時間が経って、

自分が徐々に冷静さを取り戻していくのを感じていた。

そこでようやく、あの日話し合った時に

先輩達が私に言ってくれた言葉の意味が

分かるような気がしていた。

…酷く落ち込んでたし、苦しくて辛かった、なんて

つい最近の自分のはずなのに他人のように振り返って、

それがいかに落ち着きのない言動をだったかが見えてきた。

とにかく離れたかった。

逃げたかった…

色々な「大変」の中でも、一番大きかったバンドから。

でも、離れたからこそ

今落ち着きを取り戻しつつあるのも事実だ。

そんな場所に、再び戻ることなんてできるのだろうか。

やっぱりこのまま、就職を目指すべきなのか。

…きちんと休む期間を設けて、考える時間を決めて、

その中で冷静にゆっくり自分の答えを決める。

いずれにしても、

先輩達が言っていたことはやはり合っていたように思えた。

あんな状態ですぐに答えを出そうとしていた自分を

こうして引き止めておいてくれた彼らに、

今になって感謝したくなる。

それと同時に、また迷いが生じてくる。

…これが嫌だった。

だから早く、何でもいいから早く、

決断してしまいたかったんだ、あの時の私は。

今だってすごく嫌だ。

でも…最後には自分で責任を持って、覚悟して、

決めなきゃいけないんだよね。

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